下北半島へ

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(ホテルの窓から見た青森駅

 

 青森の街は今日も朝から雪。積雪は20~30センチ程度で、この時季としてはかなり少ない。これでも東京なら大混乱だろうが、もちろん、青森では何事もないかのようにすべてが動いている。

 真っ白になった街をぶらぶら歩き、青森駅の食堂でモーニングサービスの朝食の後、かつてリンゴ市場のあった場所にできた新しいビル(Lovina)の中の書店をのぞいたりする。

 今日はこれから下北半島の奥薬研温泉に行くつもりで、まずは11時09分発のディーゼルカー東北本線を野辺地へ向かう。

 いつのまにか青森市の近郊に新しい駅が設置されており、そのうちの一つ、小柳の駅前には「克雪ニュータウン・スノートピア自由ヶ丘」の看板が立っていた。雪原の向こうに並ぶ新しい住宅群がそれらしい。

 天気は雪がやんで晴れてきたかと思えば、また雪になったりで、はっきりしないが、昨日よりはマシなようだ。

 陸奥湾を見ながら走って野辺地には12時09分に着き、24分発の大湊線に乗り換え。

 たった1両のディーゼルカーで斧の形をした下北半島の柄の部分を陸奥湾沿いに北上し、終点大湊の一つ手前の下北で下車。ここで下北交通(旧国鉄大畑線)に乗り換え、むつ市の中心駅・田名部を経て、大畑には14時28分に到着。津軽海峡に面した本州では最北に位置する駅である。

 

 大畑駅からはすぐに奥薬研行きのバスがある。初めは僕のほかに母子連れと帰宅の女子生徒が乗っていたが、この3人はほどなく降りてしまい、乗客は僕だけになった。人口の少ない土地なので、停留所の間隔も長い。そもそも冬の間はバスが1日2往復しか走っていないのだ。

 大畑川の渓流沿いに山あいを行き、終点で下車。恐山の北側に位置する、まったくの山の中なので、海岸部に比べれば雪も多いし、ひっそりとしている。たった一軒だけある薬研観光ホテルが今日の宿であるが、時季はずれのせいか、森閑としている。

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(大畑川)

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 大畑川の支流の湯股川の渓流沿いに「千人風呂」とか「かっぱの湯」とか呼ばれる大露天風呂があるらしく、それを楽しみにしていたのだが、仲居さんに聞くと、

「今はちょっと寒いので・・・」

 ということで、入れないらしい。がっかり。

 とりあえず、通された部屋で一服してから、散歩に出ようとしたら、宿のおじさんが、

「外へ行くなら長靴をどうぞ」

 というので、借りることにした。露天風呂への行き方を教えてくれるので、おや、と思いながら、

「今は入れないんですか?」

 と聞いてみると、

「いや、今、ふたり入っているはずですよ」

 というではないか。それでちょっと様子を見にいってみると、いたいた。おじさん2名。

 しばらく渓谷沿いの道を散歩してから、いったん部屋へ戻り、入浴の支度をして、再び露天風呂へ。途中で先ほどのおじさんたちとすれ違い、結局、「千人風呂」(さすがに1,000人は入れないと思うけど・・・)を独り占めすることになった。

 雪の山々を見上げながら、広々とした風呂にゆっくり浸かって、大満足。

 湯上りのホカホカ気分で、濡れタオル片手に戻ると、玄関で先刻露天風呂には入れないとのたまった仲居さんと顔を合わせてしまい、少し気まずい思いをした。

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(薬研観光ホテルの夕食)