きのう一日かけて東京から茨城県の大洗まで自転車で走り、いまは大洗を深夜に出航した北海道・室蘭行きの東日本フェリー「ばるな」の船上にいる。
満員の大部屋で一夜を過ごし、7時半に起床。
甲板に出てみると、風が強く、しかも冷たい。空は相変わらず陰鬱で、海も鉛色に沈んでいる。夏はすっかりどこかへ行ってしまった。
左舷後方に遠ざかる陸の影は金華山だろうか。この航路はいつも陸地がほとんど見えなかったのに、今日はリアス式の三陸海岸が低い雲の下に蒼黒く続いている。
8時20分に気仙沼沖を通過中との放送があった。予定より30分ほど遅れているようだ。
(三陸沖を行く)
10時10分頃、本州最東端の魹ヶ崎(とどがさき)を通過。
10時からマリンシアターでアニメ映画『さよなら銀河鉄道999』の上映。ヒマつぶしに途中から入ってみたが、揺れる映画館というのは初めてだ。宇宙空間での派手な戦闘シーンを観ていたら、頭がくらくらしてきた。船酔いか。
12時20分、15分遅れて青森県八戸沖を航行中とのアナウンス。もう本州の北端が近い。
(津軽海峡の東側を北上。画面右端に北海道)
下北半島の北東端の尻屋崎を通過すると、左に津軽海峡が広がった。すでに対岸の北海道も視線の先だ。海峡を抜けてきた大型フェリーが針路を北へ変えて、この船の遥か前方を進んでいる。この時間に津軽海峡を通るフェリーといえば、新潟県・直江津からの室蘭行きに違いない。
16時25分、北海道南端の恵山岬を通過。いつしか遅れを取り戻し、ほぼ定時である。船内アナウンスによれば、室蘭地方の天候は曇り、入港は定刻通りの18時45分だという。
(恵山岬沖を行く)
17時20分頃からレストランで早めの夕食を済ませ、あとはもう到着を待つばかり。甲板に立つと、海風が冷たく、秋を通り越して冬が来たような肌寒さだ。
(室蘭港に入港)
重苦しい雲の下に室蘭の街がしだいにはっきり見えてきて、18時ちょうどに「ばるな」は防波堤の間を通り抜け、室蘭港に進入。霧雨が降り始めた。
湾を跨ぐ白鳥大橋(平成10年開通)の下をくぐり、30分先着していた直江津発の「れいんぼうらぶ」に寄り添うように室蘭フェリーターミナルの岸壁に近づいていく。
(直江津から来た「れいんぼうらぶ」)
到着15分前に愛車の待つ車両甲板へ降り、18時45分にハッチが開くと同時に真っ先に下船。霧雨の中を走り出す。気温は16度。それにしても、夏の北海道に通うようになって以来、上陸時はいつも雨や霧である。
今日はこのまま室蘭に泊まるつもりで、移転してコンパクトになった室蘭駅に立ち寄った後、ひどく寂れた印象の商店街をさまよい、安ホテルを見つけて投宿。素泊まり4,000円。