アストゥーリアス・ライブ

 4月24日(日)、吉祥寺のスターパインズカフェでアコースティック・アストゥーリアスのライヴを観てきた。メキシコでのプログレ・フェスティバルに日本代表として出場、大成功を収めての凱旋記念ライブである。
 アストゥーリアスは1980年代後半、「日本のマイク・オールドフィールド」などと評された大山曜を中心に結成されたプログレッシブ・ロック・ユニットで、美しいアルバム3枚を発表したが、その後、活動を休止。2003年に完全アコースティック・ユニットとして復活し、昨年1月に「バード・アイズ・ビュー」という5曲入りミニアルバムを発表した。これは発売以来、現在まで僕の中の大ヒット作品で、ここ1年、数え切れないぐらい聴いている。
 メンバーは大山曜(ガットギター)、北辻みさ(ヴァイオリン)、筒井香織(クラリネット)、川越好博(ピアノ)の4人。
 ただ、メキシコへは北辻さんの代役としてプログレッシブロックグループ・ファンタスマゴリアの藤本美樹が同行。藤本さんはフェスティバルにアストゥーリアスとファンタスマゴリアの両方で参加。さらに現地で元ユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーのステージにも急遽ゲスト出演を依頼されるという大活躍だったそうだ。
 今回の海外遠征記念ライブでは北辻&藤本、ふたりのヴァイオリニストの競演が事前にアナウンスされていた。

 さて、満員の会場で、まずはオープニング・アクト。ケルティック・ハープ奏者、坂上真清が登場。前半はハープのソロ。後半は曲ごとにフィドルやヴォーカル、ブズーキを加えての演奏。まさに癒しの音楽。心地よすぎて、眠くなった人もいたようだけれど。僕の前の人、頭がこっくり、こっくり揺れていました。

 そして、いよいよアストゥーリアスの登場。まずは大山、藤本、筒井、川越のメキシコ組による演奏。
 1.Wataridori
 2.Distance
 3.Adolescencia
 4.かげろう(16分の21拍子という川越さんの曲)
 5.Bird Eyes View
 6.Ryu-Hyo(超名曲。筒井さんはこの曲だけリコーダーを演奏)
 
 1曲目はヴァイオリンの音が聞こえにくかったが、その後バランスが調整されたようで気にならなくなった。
 オープニングの定番曲で、ピアノの超高速イントロで聴衆を一気に引き込む「ディスタンス」を2曲目に配したのはメキシコでの曲順と同じ。あちらの聴衆は演奏が始まってからゾロゾロと会場に入ってくるので、こういう曲順にしたとか。
 6曲やって、ここでヴァイオリニスト交代。

 7.(untitled) 大山、北辻、坂上真清の3人による演奏。曲名募集中だそうです。
 8.Luminous Flower 大山、北辻、筒井、川越、坂上による演奏。
 9.Rogus ここからオリジナル・カルテットによる演奏。パワフル!
 10.Global Network(大山さん曰く「北辻さんのテーマソング」だそうです)
 11.Marching Grass on The Hill

  (アンコール)
 12.Tempters of Providence この曲を最後に、大山・北辻・筒井退場。藤本登場。
 13.紅江 (川越&藤本によるデュオ)

 結局、北辻さんと藤本さんが同時にステージに立つシーンは1度もなし。ちょっと残念。
 しかし、みなさん、とにかく上手い。今日はとりわけ北辻さんの演奏に魅了された。レギュラーヴァイオリニストの面目躍如といったところか。そして、何よりも大山さんの作曲家・編曲家としての才能はすごい。
 ヴァイオリン、クラリネット、ギター、ピアノが次々と主役と脇役を交代しつつ、躍動的なリズムを生み出し、その上で華麗なソロや優雅なハーモニーを奏でたり、対位法的に絡み合ったりしながら曲が展開していく。
 アストゥーリアスは「癒し系プログレ」などと呼ばれているそうだが、どうなのだろう。僕は「癒し系」という言葉はあまり好きではないが、アストゥーリアスの音楽を聴いていると、癒されるというよりは静かに興奮してくる感じ。彼らの音楽は間違いなくロックだと確信した。世界で一番美しいロックバンドのひとつと言ってもいいのではないか。
 次のライブ、そして新作が楽しみでならない。