目黒不動尊

 泰叡山 瀧泉寺 (天台宗) 目黒区下目黒3-20-26

 〈御詠歌〉清らけき 目黒の杜の 独鈷滝 災厄難を 除ける不動尊

 目黒不動尊は江戸時代から多くの参詣者を集め、行楽地として賑わったところで、教学院と比べてずっと大きなお寺です。関東最古の不動霊場というだけあって、歴史も大変古く、808年、慈覚大師円仁が目黒の地で不動明王霊夢を感得し、その尊像を刻んで安置したのに始まるということです。関東三十六不動霊場の第18番札所です。

 仁王門をくぐって、まず目に留まるのは高台の斜面に独鈷の滝。慈覚大師が独鈷(密教の法具)を投じると、たちまち泉が湧き出し、大師はこれを独鈷の滝と称したと伝えられています。以来、いかなる旱魃でも涸れることなく湧出し続けた滝は今も水音を立てています。滝壷の池には水かけ不動が祀られています。
 滝の脇には青龍大権現を祀った垢離堂、その左上に前不動堂、さらにその左に勢至堂などが並んでいます。この前不動堂と勢至堂のみが1945年5月25日の大空襲による焼失を免れた江戸期の建築です。また、江戸時代にサツマイモの栽培を広めた「甘藷先生」こと青木昆陽の顕彰碑などもあります。ちなみに青木昆陽の墓が本堂裏手の墓地にあり、国の史跡に指定されています。
 さて、石段を登っていくと、大本堂です。現在の建物は1981年の再建ですが、安置されるご本尊・不動明王像(秘仏、12年に1度、酉年に開帳)は創建以来、3度の本堂焼失でも無事だったそうです。その本堂の裏に露座の大日如来像があります。大日如来密教の中心仏で、不動明王本地仏とされています。
 境内には、ほかにも阿弥陀堂地蔵堂観音堂役行者窟などがあり、また山の手七福神恵比寿神も祀られています。

 目黒不動からは山手線沿いに北上して目白不動へ回ろうと考えていましたが、気が変わって、先に自宅から最も遠い江戸川区平井の目黄不動へ向かいました。家を出た時は寒くて、洟垂れ小僧になっていましたが、走っているうちに身体が温まり、汗ばんできました。マフラーと手袋をはずして、ペダルを漕ぎます。
 目黒通りに出て、目黒駅から白金、麻布十番芝公園、新橋駅、東京駅八重洲口、日本橋浅草橋駅、蔵前橋、錦糸町、亀戸と勘を頼りに走って、少し迷いながら到着しました。