SLAPP HAPPY/Acnalbasac Noom (1973,1982)

Acnalbasac Noom

Acnalbasac Noom

 スラップ・ハッピーはドイツの女性ヴォーカリスト、ダグマー・クラウゼ、イギリス人の作曲家アンソニー・ムーア、米ニューヨーク出身の詩人ピーター・ブレグヴァッドの3人によるポップ・グループ。70年代に結成され、わずかな作品を残して姿を消し、1998年に突然、新作を発表。その勢いで2000年には来日まで果たしてしまった(僕も吉祥寺のスターパインズカフェに聴きにいったけれど、静かにじわじわと感動が広がっていくような素晴らしいライブだった)。
 この作品は1973年にドイツの前衛ロックバンド・ファウストの協力を得て制作されたが、レコード会社から発売拒否され、お蔵入り。1980年にようやく陽の目を見た。奇妙なタイトルはカサブランカ・ムーンの逆さ読み。前衛ポップというか不思議ポップというか…。普通ではないが、決して難解でもない。むしろ人懐こいとすら言える。なにより、ダグマーのヴォーカルがいい。キュートだったりコケティッシュだったりシリアスだったりエレガントだったりと変幻自在。ポピュラー音楽の世界ではなかなかいない声の持ち主だと思う。この作品はレコード会社に発売拒否された後、別アレンジで再レコーディングされ、英国ヴァージンレーベルから“Casablanca Moon”として発売されたが、それよりもこのお蔵入り盤の方が70年代という時代を感じさせない普遍性を持っているように感じられ、僕はこっちをよく聴いている。
2000年の来日時のライブ盤“LIVE IN JAPAN”も彼らの魅力を伝えてくれる好盤。
Live in Japan: May 2000

Live in Japan: May 2000