平岩英子/Airium (1997)


 平岩英子はとてもアーティスティックな雰囲気をもったシンガーである。声は少しハスキーながら、しっとり系。詩の世界もユニークで、ラブソングでも甘くなりすぎないのがいい。ピアノの腕もなかなか。彼女の5枚のアルバムはどれも好きだが、初めて出会ったのが、この2枚目「エアリウム」だった。タイトルはアクアリウム(水族館)のアクア(水)をエア(空気)に入れ替えた造語だそうだ。空から舞い降りてくるような多重録音コーラスで幕を開けるこのアルバムは彼女の作品の中でもとりわけカラフルな印象が強いが、あえて色彩的なイメージでいえば、やはり青だろうか。透き通るようなブルー。ラスト曲はまさに“Blue”。ひんやりとしたピアノの響きが印象的。そして、エンディングのスキャットがアルバム冒頭のコーラスへと繋がっていく円環構造になっている。「Blue」のほか「カラカラ」「はこぶね」「サボテン」「Snow Field」「昨日見た夢のように」などがお気に入り。
 ついでに言うと、平岩英子は僕が過去に最も多くライヴを見たアーティストでもある(15回ぐらい)。基本はピアノ弾き語りのスタイルながら毎回、さまざまなゲスト・ミュージシャンを迎え、同じ曲でもさまざまなアレンジで、時にインプロヴィゼーションを取り入れたり、演奏した曲を直後にプレイバックしてそこにハーモニーを重ねる、なんてことまでやっていて、毎回毎回が新鮮な体験だった。残念ながら現在は活動休止中だが、復活を期待したい。待ってます!

www.youtube.com

www.youtube.com

Airium

Airium

Amazon