CAMEL/Moonmadness (1976)

Moonmadness (Dlx)

Moonmadness (Dlx)

 キャメルの音楽に初めて出会ったのは高校生の時のこと。それまでラジオのポップス・ベストテンみたいな番組で流れる音楽(アバとかクイーンとかエアロスミスとか…)ばかりを聴いていたのだが、レコード店でたまたま見つけた幻想的なジャケットに惹かれて衝動買いしたのが、この作品だった。
 レコードに針を落とすと(当時はまだアナログ時代…)、流れてきたのは今までに聴いたこともないような音楽だった。世の中にはこんなにも美しいロックがあったのか、と思った。叙情的なフルート、甘美なギター、冷ややかなシンセサイザーハイハットを主体にしたセンシティヴなドラム、…。そして、意表をつく曲展開。とりわけ、“Song within a song”やラストの“Lunar Sea”が気に入った。世界にはたくさんの素晴らしい音楽があり、ただ目の前の流行を追っているだけではそのほとんどに出会うことができない、ということを教えてくれた、僕にとっては大切な一枚。