村松健/サウンドスケッチブック(2007年)

 村松健さんは1980年代から好きで聴いているピアニスト/作曲家だが、これは『スケッチブック〜full color's〜』というアニメのサウンドトラック。CDショップの村松健コーナーで発見して、聴いてみたのだった。
 その時はアニメはもちろん、原作の『スケッチブック』というマンガも全然知らなかったのだが、その後、まず原作を読み始めて、徐々にハマり、アニメのDVDにも手を出し、全6巻のうち今のところ、3本を持っている(1・2・4巻)。

 このアルバムは村松さんのファンならアニメやマンガを知らなくても十分楽しめる内容だが、アニメを見ると、より一層魅力が増す作品だと思う。個人的にはDVDの第2巻が現在でも比較的入手しやすくて、内容的にもオススメ。美しい音楽と映像が一体となってノスタルジックな世界観を表現していて、たまりません。

 そもそも『スケッチブック』は福岡県の高校の美術部を舞台にした4コママンガで、コミックは現在8巻まで出ている。美術部員と顧問の先生の日常をのんびり、ほんわか、ほのぼのとした雰囲気で描いていて、心がなごむ。ネコや犬、ニワトリのほか、いろいろな生き物や植物が登場するのも特徴。
 登場するキャラクターは個性派揃いだが、学園モノによく出てくるような嫌な奴は全くいない。というか、全員が可愛い。可愛いといっても、萌え系の可愛らしさではなく、人間として愛すべきキャラクターばかりなのだ。これだけ強烈な個性の持ち主が集まっているのに、それがぶつかり合うこともなく、生き生きと共存している。そして、作品自体に品がある。現実にこういう人たちと一緒に生活していたら、楽しいのか、大変なのか、は微妙なところだけど…。
 連載10年目だそうだけど、1年生はずっと1年生のままなので、作品内では誰も年をとらないサザエさん方式なのかな。ただ、各キャラクターの性格や個性や美術部内での立ち位置みたいなものを把握していないと理解できないネタも多いので、マンガは1巻から読まないと面白みが分からないと思う。面白い、というよりは好きになる作品。

スケッチブック 1 (BLADE COMICS)

スケッチブック 1 (BLADE COMICS)

 アニメでいうと、エンディングテーマのラストで、一緒に虹を見上げている空と夏海と葉月の3人の表情がなんともいえずイイ。
 ところで、この3人、夏海は2人のことを「空」「葉月」と呼び、葉月は2人のことを「梶原さん」「麻生さん」と呼び、空は・・・、考えてみると、2人に呼びかけたことってない・・・かな? 空は一応主人公だけど、ほとんどしゃべらないからね。
 と思ったら、このことがアニメの最終回のポイントにもなっていたのだね。「麻生さん、鳥飼さん」(この部分、追記)。