第145回天皇賞(春)

 いやぁ、競馬というのは難しい。
 前走の阪神大賞典では、まさかの暴走で2着に敗れた昨年の4冠馬オルフェーヴル。それでも3コーナー手前でのあわやコースアウトの急ブレーキから再加速して2着に入った桁違いの強さを誰もが信頼して、今日の天皇賞(京都・芝3200m、18頭)でも圧倒的な1番人気となった。
 レースの焦点は大外18番枠に入ったオルフェが前回のように暴走せずに、馬群の中でじっと我慢してレースを進め、最後に爆発的な末脚を発揮できるかどうか、ということだった。それさえ出来れば、オルフェが勝つのは確実、と誰もが思っていた。
 で、オルフェーヴルはスタート直後から馬群を前に見ながら後方を追走。最初の正面スタンド前でも落ち着いているように見えた。このあたり、池添騎手も関係者もファンもオルフェに対して、我慢、我慢、と念じていたのではないか。でも、それが落とし穴になったように思う。
 レースはゴールデンハインドが逃げ、直後にビートブラック。離れた3番手にナムラクレセント。さらに大きく離れて他馬の一団が進み、オルフェーヴルは最後尾から2、3番手の位置。向こう正面で、これはいくらなんでも離れすぎじゃないのか、という気になる。オルフェはただひたすら我慢、他の有力馬も後ろのオルフェを意識して、前へ行けない。よくある大波乱のパターン。
 結局、2周目の第3コーナーで先頭に立った14番人気のビートブラックがそのまま逃げ切り勝ち。オルフェーヴルは闘争心に火がつかないまま、伸びを欠き、ヒルノダムールと同着の11着という惨敗。圧勝でも暴走でもなく、凡走に終わってしまった。
 2着にはトーセンジョーダン

 1着 ビートブラック石橋脩)  2着 トーセンジョーダン  3着 ウインバリアシオン
 4着 ジャガーメイル  5着 ギュスターヴクライ