米澤穂信『さよなら妖精』

さよなら妖精 (創元推理文庫)

さよなら妖精 (創元推理文庫)

 1991年4月、ある地方都市で暮らす高校3年生の守屋、太刀洗、白河、文原らの前に現れた一人の外国人少女。父の仕事の関係で2か月間だけ日本に滞在するマーヤと名乗る彼女は守屋たちに忘れがたい印象を残して「祖国」へ帰っていく。
 マーヤの祖国はユーゴスラビア。6つの共和国からなり、言葉も宗教も経済状態も多様なモザイク国家で、マーヤの日本滞在中に異変が起きた。彼女はどこへ帰ったのか。1年後の夏、大学生になった守屋たちは記憶を手繰りながら、マーヤの帰った国がどこなのかを探ろうとする。
 読み終えて深い余韻の残る青春小説。