樋口有介『風少女』

風少女 (創元推理文庫)

風少女 (創元推理文庫)

「義父の死をきいて故郷に帰ってきたぼくは、駅前で偶然、川村千里に出会う。ぼくの中学時代の初恋のひと、川村麗子の妹だ。ところが、麗子は一週間ほど前にアパートの浴槽で溺死したという。彼女らしくない格好のわるい死に方だ。事故死だとは思えないぼくと千里は、二人で事件の周辺を探ることにした。さわやか青春ミステリー」(文春文庫版の紹介文)

 「さわやか青春ミステリー」というほど、さわやかでもないが、面白いことは面白い。作者自身がヘビースモーカーなのか、登場人物が男女を問わず、やたらに煙草を吸うので、非喫煙者としては読んでいるだけで、非常に煙たいような気分になる。それが爽やかさを感じない一番の原因か。それさえなければ、よく出来た作品だとは思う。

 これは1990年の作品で、僕が読んだのは1993年の文春文庫版だが、2007年の創元推理文庫版では大幅に改稿されているらしい。どこがどう変わったのか、興味はあるが、読み直すほどではないかな。