ポップグループの最新型「さよならポニーテール」という存在


(左から、あゆみん、しゅか、みぃな、ゆゆ、なっちゃん
 「さよならポニーテール」というポップグループについては、これまでにも何度か取り上げた。
 今日も彼らの新しいシングル「秘密の時間」を買ったのをきっかけに、この不思議なグループについて書いてみるわけだが、今回はそれ以上に書いておきたいことがいろいろある。
 とりあえず、シングル「秘密の時間」。
 8月17日公開の映画『スクールガール・コンプレックス〜放送部篇』の主題歌であり、同映画のパンフレット(文庫本サイズ。太宰治の小説「女生徒」も収録)にさよポニの主題歌CDを合わせたスペシャルセットでの発売。上映館以外ではサブカル系書店(?)のヴィレッジ・ヴァンガードのみで限定販売しているようだ。僕は先日、町田のヴィレヴァンで購入した。



 さて、「さよならポニーテール」である。現在のメンバーは「みぃな」「なっちゃん」「あゆみん」「しゅか」「ゆゆ」という5人のヴォーカルの女の子とサポートメンバーを合わせた12人編成で活動している。

 彼らは活動拠点をインターネット上に置き、ライブは一切行わず、ヴィジュアル的にもイラスト以外、正体を明らかにしない。ファンとの交流はツイッターフェイスブックといったソーシャルメディアを通じて行い、CD発売記念イベントが開催されてもメンバーは登場しない、というまさに正体不明の謎に包まれたバンドである。また、音楽活動と並行して、これまでに3冊のマンガ作品を出版しており、マンガを通じて、メンバーのキャラクターに触れられるようにもなっている。

 というのが、今まで僕が彼らについて知っているすべてであった。
 しかし、最近、驚くべき事実を知った。

 グループの主宰者的存在であるらしいクロネコ氏(役割はトータルプロデュース)によると、さよならポニーテールのメンバー全員が同じ場所で顔を合わせたことは一度もないのだという。メンバーはクロネコ氏など一部を除いて、他のメンバーと会ったことはなく、お互いの素性を全く知らないというのだ。顔も本名も年齢も何も知らない。ただ、一方的に付与された名前(ネット上のハンドルネームに等しいもの)とイメージイラストと歌声だけで相手を認識しているのだという。つまり、メンバー同士も我々ファンが知っているのと同じ程度にしかお互いについて知らないらしいのだ。
 公衆の前に姿を見せないまでも、メンバーは仲よく楽しく活動しているのだろうと想像していたのだが、どうやらそうではないらしい。
 イラストで表現された「さよならポニーテール」のメンバーと、実際にそれぞれのキャラクターを担当する実在の個人というのは、アニメのキャラクターと、それを演じる声優の関係に近いと言えそうだが、ここでは声優同士がお互いに会ったこともない、他のキャラをどんな人が演じているのか、全く知らない、というわけだ。この点はレコード会社の担当者ですらクロネコ氏など一部のメンバー以外とは会ったことがないというほどに徹底されているというから、そこに重要な意味があるのだろう。

 クロネコ氏による「『さよならポニーテール』の構造について 第一回」

 メンバーはクロネコ氏を介したメールのやり取りを通じて結びつき、一緒に「さよポニワールド」という一つの世界を作り上げているわけだ。こんな形でグループが成立し、作品を生みだし、メジャーデビューまで果たすということが可能なのが現代という時代であり、彼らはその存在形式において、まさにポップグループの最新型といえそうだ。

 あえて「さよポニ」と似たような存在をほかで探すとすれば、たとえば、ヤン富田が架空の少女キャロライン・ノヴァクをフィーチュアしたドゥーピーズの作品や、もっと近いところでは、一大ブームを巻き起こしたアニメ『けいおん!』における女子高生バンド「放課後ティータイム」あたりが思い浮かぶ。とりわけ、「放課後ティータイム」は「さよポニ」結成のヒントとなった可能性も考えられる。
 ただ、「放課後ティータイム」の場合は、各キャラクターを演じた声優たちが実際にバンドを結成し、ライブイベントを開催するなど、アニメとリアルが並行して盛り上がったわけだが、「さよポニ」では、そのリアルな部分を徹底的に秘匿することにより、音楽とイラストとマンガだけで成立する「さよポニワールド」がより一層のリアリティーを獲得することに成功したといえそうだ。
 ということで、「さよポニ」による放課後ティータイムのカバー。映像がまさに「さよポニ」版「けいおん!」。

さよならポニーテール 『天使にふれたよ!』


 さて、そんなグループ「さよならポニーテール」の中でイラストやマンガを担当し、ヴィジュアル面における「さよポニ」の世界観を創造し、さらに公式ツイッターを通じた情報発信やファンとの交流も担っていた重要メンバーが「神さま」という役職名をもつ「ゆりたん」だった。
 その「神さま」が2013年6月10日、21時をもって「ゆりたん」から新メンバー「ちぃたん」に交代した。
 神さま交代の可能性はすでに昨年の段階でクロネコ氏によって言及されていたようだが、それが現実になったわけだ。
 神さまが変われば、世界も変わる。メンバーのイラストも変わった。今回は2代目神さまが前任者の世界観をかなりの程度引き継いでいるので、個人的には大きく変わったとは思わないが、その気になれば、さよポニワールドをこれまでとは全く違うものへと激変させることだって可能だったのだろう。今回はそういう選択はしなかった、というだけで…。今後も「神さま」は交代していくと予告されているので、「さよポニ」ワールドもそれにつれて変化を遂げていくのだろう。まさに一筋縄ではいかない存在だ。さよならポニーテールというグループは。

 これは初代・神さま「ゆりたん」時代、まだ「しゅか」と「ゆゆ」が加入前の「さよならポニーテール」。

(前列左から、ゆりたん、メグ、メガネくん、あゆみん、みぃな、なっちゃんクロネコ、324P。後列左から、マウマウ、ふっくん)

 「しゅか」と「ゆゆ」加入後のさよポニ。

 
 神さま交代と同時に発表された新しい神さま「ちぃたん」による「さよポニ」。

(左端のスケッチブックを手にした小さな天使みたいなのが2代目神さま)

 ところで、神さま交代に際して、ツイッターで公開された引き継ぎ項目の中で、ドサクサにまぎれて(?)、もうひとり「中の人」が入れ替わっているメンバーがいる、それがどのメンバーなのかを公表するかどうかは、新しい神さまに委ねる、というようなことが書かれていたが、今回発売されたシングル「秘密の時間」のクレジットを見ると、メンバーのうち歌やコーラス担当の「あゆみん」が「あゆみん(二代目)」と表記されている。キャラクターはそのままで、声優交代みたいなことか…。
 やっぱり目が離せない人たちだ。

 そういえば、メンバーのイラストの中にゴーグルみたいなのを掛けた小さな女の子がいるが、このコーラスやサックスなどを担当するメグが最近、ソロユニットを始動させ、YouTubeの公式チャンネルに新曲が公開されている。

青春ファンタジア(初回生産限定盤)

青春ファンタジア(初回生産限定盤)

魔法のメロディ(初回生産限定盤)(2CD)

魔法のメロディ(初回生産限定盤)(2CD)

星屑とコスモス (愛蔵版コミックス)

星屑とコスモス (愛蔵版コミックス)

小さな森の大きな木

小さな森の大きな木

きみのことば

きみのことば