第92回凱旋門賞

 ヨーロッパ競馬の年度チャンピオン決定戦ともいえる凱旋門賞が6日、フランスのロンシャン競馬場・芝2400メートルに17頭が出走して行われた。
 このレースは世界の競馬界の数ある大レースの中でも唯一「凱旋門賞」と漢字だけで表記されるせいか、日本人にとっては、とりわけ歴史と伝統の重みを感じ、その分、思い入れも強いレースだ。フランス語のPrix de l' Arc de Triompheのままだったら、だいぶ印象が違う。
 とにかく、今回も日本からは昨年2着に惜敗したオルフェーヴルと今年の日本ダービーキズナの2頭が参戦。いまだヨーロッパ以外の馬が勝ったことのないこのレースで日本競馬界の悲願達成に挑んだ。
 オルフェ、キズナともに渡仏後の前哨戦を勝ち、日本国内ではレース前から日本馬のワンツーだ、などと大いに盛り上がっていたが、結果はスミヨン騎乗のオルフェーヴルが昨年と同じ2着。武豊騎乗のキズナは4着に終わり、急速に盛り下がる。
 勝ったのはデビューから4連勝中のフランス3歳牝馬トレヴ。オルフェより5Kgも軽い斤量(54.5kg)にものを言わせ、最後の直線で抜け出すと後続馬を寄せ付けず、オルフェに5馬身差をつける圧勝。5連勝でヨーロッパの頂点に立った。
 もともと凱旋門賞は負担重量の面で3歳が圧倒的に有利で、実際、過去の優勝馬も3歳馬が断然多いのだが、今回もオルフェ以外は3歳馬が上位を占めた。そのせいか、歴代優勝馬の中には一発屋的な馬も少なからずいるような気がするのだが、今回のトレヴは相当強そうだ。それにしても、もう少し斤量の有利不利の差をなくすように見直してもいいように思うのだが。
 1番人気だったオルフェは終始馬群に包まれ、精神的に厳しいレースだったのか、最後の直線でいつもの伸びが見られず完敗。間違いなく強い馬なのに、女子によく負けるね。ジェンティルドンナとかソレミアとか今回のトレヴとか…。
 キズナはオルフェよりも自分のレースができたように見えたが、最後でトレヴに引き離されてしまった。それでも4着は頑張った方だと思う。前走で破った英ダービールーラーオブザワールドやフランスの最強3歳馬といわれたフリントシャーに再び先着しているし…。

 2年連続2着に終わったオルフェは今年の有馬記念で引退だそうだが、彼の能力の高さはヨーロッパの競馬関係者やファンにも強い印象を与えたと思うし、オルフェの子どもたちが日本だけでなくヨーロッパでも走るようになってくれれば素晴らしいな、と思う。これまで日本は欧米から種牡馬を輸入し、強い馬をつくってきたわけだが、そろそろ日本で生まれた血統が世界に広まってもいい頃だろう。
 キズナはまた来年…かな?