都民の森(2日目)

 5月18日、日曜日。東京の山奥、檜原村の都民の森にいる。

 1泊2日の自然観察会に参加しているのだ。このイベントは過去に何度も参加しているが、この観察会で一番感動したのが夜明け前から始まる野鳥のコーラス。
 まだ暗いなかで最初の一羽が一声鳴くと、それに呼応して次の一羽が鳴く、さらにまた一羽、また一羽…という風にさまざまな野鳥たちがさえずりだして、それが山全体に広がっていくのだ。
 都民の森は基本的に宿泊設備がないので、こういうイベントの時は各自寝袋持参である(事前予約で貸出あり)。寝袋だから寝心地も良好とは言えない。だから夜中に目が覚める。でも、そこがいい。朝までぐっすり眠ってしまっては、かえってもったいない。
 うまい具合に3時過ぎにいったん目が覚めたので、テラスに出てみた。カッコウの仲間、ジュウイチが鳴きながら南の稜線付近を飛んでいるが、すぐにやんでしまった。もう完全な静寂。過去にはこういう時間帯にジュウイチのほか、トラツグミ、ヨタカの声が聞こえて、それがなんとも神秘的というか、不気味というか、宿泊型イベントならではの魅力だったのだが、今日はジュウイチだけだった。まだ早いので、寝袋に戻る。

(南の稜線の彼方に月が隠れる)

 4時を過ぎて、それは始まった。最初にさえずり出した、あの鳥は何だろう? よく分からなかったが、すぐにヒガラが早口で歌い出し、コルリが続く。カケスが濁った声で鳴き、オオルリが澄んだ声を響かせる。さらにツツドリが加わり、センダイムシクイアオバトヤブサメミソサザイ、ウグイス、アオゲラキセキレイなどが続々と鳴き始める。キツツキのドラミングも聞こえる。



 まさに野鳥のコーラス。いいなぁ、と思うが、10年以上前に初めてこのイベントに参加して感動した時に比べると、少し物足りない気もする。アカハラやマミジロ、コマドリの声が聞こえないせいだろうか。野鳥の種類も少ないし、個体数も減っているのだろう。そのかわり外来種ソウシチョウが加わったりしている。初めから聞いていたのは僕だけだったが、そのうち何人かが眠そうな顔のまま起きてきて、山を見上げている。


 木のてっぺんでさえずるオオルリ。逆光で真っ黒。

 すっかり明るくなった4時50分頃になって、またテンが出てきた。カケスもやってくる。森林館の屋根ではキセキレイがさえずっている。




 山の稜線に朝日が射してきた。山が輝きだす。今日もいい天気になりそうだ。

 みんな適当に朝食をとりながら、テラスで野鳥観察。双眼鏡やプロミナーでオオルリアオバトミソサザイなどを見る。
 山の稜線上をノスリが飛び、木に舞い降りた。

 その上空をトビが舞い、ハイタカ(たぶん)も飛ぶ。

(トビ。ハイタカはすぐ稜線の向こうへ行ってしまった)
 7時過ぎに森林館裏の斜面にニホンリスも出てきた。1匹だけ。

 8時頃からまた野外観察。早くも朝一番でやってきた登山客の姿がちらほら。


 オオルリツツドリヤブサメの声を聞きながら歩き、センダイムシクイエナガ、ヒガラは姿も確認できた。稜線上を飛ぶアオバトのペアも。


 作りかけで中断した(?)リスの巣。

 森林館に戻り、イベントのまとめとアンケート記入があり、10時に観察会終了。

 哺乳類 テン4匹、ハクビシン3匹、ニホンリス1匹、ヒナコウモリ十数匹
 鳥類  ヤマガラ、カケス、センダイムシクイ、ヒガラ、コガラ、キセキレイコゲラアオゲラ
     トビ、ハイタカノスリミソサザイオオルリキビタキツツドリ、ジュウイチ
     エナガコルリ、ウグイス、アオバトメジロヤブサメシジュウカラ
     ハシブトガラストラツグミ(野鳥は声のみ、も含む)

 10時45分に武蔵五日市行きの急行バスがあるが、もう少し歩きたいので、ひとりで三頭大滝あたりまで往復してきた。

 散策路のすぐそばでキビタキアオゲラの声が聞こえたのだが、姿は見つけられず。浦野さんがいれば見つけられたのかもしれないが、このあとテレビのロケの予定があり、五日市で「はんにゃ」の金田たちと待ち合わせているらしい。先日も都民の森にテレビの取材が来たらしいが、そのたびに浦野さんが出ていて、僕も何度か見たことがある。浦野さんが鳥の声真似をすると、本物がそばまでやってくる、というのが定番ネタになっているようだ。
 三頭沢。

 三頭大滝。

 大滝の下にまだ雪が残っていた。

 モミの大木。

 ムササビやモモンガが棲んでいる(かもしれない)ケヤキの大木。

 何やら小鳥がいた。あれは何だ?

 最近姿を見ないというゴジュウカラ

 そういえばキクイタダキの声も聞いた。
 オオルリの声がしたので、双眼鏡で探したら、すぐに見つかった。

 この昆虫は何だろう? 

 さて、そろそろ帰ろうか。

 レストランで昼食をとり、13時過ぎのバスで山を下ってきた。