似鳥鶏『午後からはワニ日和』『ダチョウは軽車両に該当します』

午後からはワニ日和 (文春文庫)

午後からはワニ日和 (文春文庫)

 この作家の小説は前にちょこっと読んだことがある。まあまあ面白かった、という印象だが、今回は動物園ミステリー。
「『イリエワニ一頭頂戴しました。怪盗ソロモン』凶暴なクロコダイルをどうやって? 続いて今度はミニブタが盗まれた。楓ヶ丘動物園の飼育員である僕(桃本)は解決に乗り出す。獣医の鴇先生や動物園のアイドル七森さん、ミステリ好きの変人・服部君など、動物よりもさらに個性豊かなメンバーが活躍する愉快な動物園ミステリ」
 この紹介文を読んで、ほのぼの系のミステリーなのかと思いきや、意外にシリアスだったり、スリリングだったり、でもユーモアもあったりで、予想以上に楽しめた。
 作中の動物園はオランウータンのスカイウォークがあったり、キリンやダチョウ、シマウマを混合展示するアフリカの草原ゾーンがあったりと多摩動物公園を思わせる一方で、第一の犯行の舞台の爬虫類館は上野動物園を思わせたり、と両園のいいトコ取りみたいな動物園で、こんなところがあったら行ってみたいな、と思わせる。飼育員の日常というのもきっとこんな感じなんだろうな。こんな事件に巻き込まれることはないだろうけど。
 勢いで、続編も一気読み。

「県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは『ダチョウだって?』―そして発見された焼死体。捕獲したダチョウと被害者をつなぐものとは? キリン飼育員・桃くんにツンデレ女王・鴇先生、変態(?!)・服部くん、アイドル飼育員・七森さんら、楓ヶ丘動物園の怪しく愉快な面々が活躍する動物園ミステリー第2弾!」
 こちらも登場キャラクターはコミカル過ぎる気がしないでもないが(とくに服部くん)、ストーリーはまたまたけっこうシリアス。
 ダチョウは時速70キロで走れるらしい。万が一、街でダチョウに出くわした時の注意点、捕まえ方は頭に入れておこう(笑)
 もうすぐ第3弾が出るらしい。

 ついでにこれも読み始めたところ。