漂流した「かもめ」

 久しぶりに霜が降り、氷が張る寒い朝。天気は晴れ。
 東日本大震災が発生して今日で4年。まだ4年というより、もう4年という感じ。まだ震災は終わっていないし、特に原発事故の収束は数十年も先だ。たぶん僕が生きている間はずっと震災が続いているのだろう。なので、何を書くのも気が重い。
 ということで、今日の写真は東京国立博物館に「みちのくの仏像」展を観に行った際に本館玄関前に展示されていた一艘の小舟。

 岩手県陸前高田市岩手県立高田高校海洋システム科の実習船「かもめ」。

 養殖実習などに使用されていたそうだが、東日本大震災発生時、陸揚げされていた港で巨大津波に襲われ、2年余りも太平洋を漂流した後、2013年4月7日にアメリカ・カリフォルニア州クレセントシティの海岸で発見された。
 「かもめ」はその後、返還され、現在は陸前高田市立博物館の所有となり、今回の東京での展示となった。
 発見直後の「かもめ」。大量の貝類が付着している。


 船に付着した貝類は現地の人々の協力で剥ぎとられ、その一部は標本として保管され、2013年11月26日にケネディ駐日大使が陸前高田市を訪問した際に「特別な贈り物」として贈呈されたとのこと。貝類専門の文化施設「海と貝のミュージアム」を失った陸前高田市にとっては震災後、初めて寄贈を受けた貝類標本となった。