上野のクマが多摩へ

 多摩動物公園で飼育されていたお婆ちゃんヒグマのミチが昨年9月に天国へ行き、それ以来、多摩のクマ舎は空いたままになっていた。春になったらヒグマに替わってツキノワグマを展示するという告知はだいぶ前から出ていたので、上野動物園に4頭いるツキノワグマのうち、2011年に上野で生まれたウタ♀あたりがやってくるのかな、などと予想していたのだが、先日発表されたところによると、ウタの両親であるソウ♂とタロコ♀が揃って多摩へ移動するようだ。移動日は上野が休園の明日4月20日
 「ソウ」は推定9歳。長野県で保護された個体。母グマが駆除され、仔グマだけが捕獲されたということだろう。
 「タロコ」は2006年4月30日に生後まもなく富山県内で保護された9歳になるメス。上野で僕が初めて見た時はたしか「タロウ」だったが、いつのまにか「タロコ」になっていた。オスだと思われていたのが、メスと判明したための改名。釧路市動物園ホッキョクグマ、「ツヨシ」♀もそうだが、クマの雌雄判別はそんなに難しいのだろうか。

 ということで、写真は「ソウ」と「ウタ」の父娘。ウタはタロコが動物園では珍しい冬眠中に出産した個体。
 普通は仔グマが父親と同居というのは危険であり、父と娘の同居もありえないのだが、ウタがもう仔グマとは言えないほど成長し、しかしまだ性成熟していない亜成獣である今だけの光景なのだろう。
 ソウ(左)とウタ(右)



 父娘でレスリング?


 ウタが先に仕掛けて、一回り大きいソウの逆襲にあう、というパターン。

(右がウタ)

 ウタは一旦は逃げ出すものの、すぐにまた父親にかかっていく。
 そして、またやられる。

「パパ、もうやめて! 降参、降参」


 負けても負けても、何度でも父親にかかっていくウタ。きっと楽しかったのだろうね。
 「ソウ」と「タロコ」が多摩に移動すると、上野のツキノワグマは「ウタ」と「クー」のメス2頭ということになる。