この夏も小湊鉄道

 去年の今ごろ(一昨年もだが)、小湊鉄道に乗りに行ったなぁ、と思い出していたら、またあの存在自体が文化財のような鉄道に乗りたくなった。
 ということで、今年もまた小湊鉄道に乗ってきた。鉄道というのは移動の手段であって、鉄道に乗ることが目的というのはおかしな話かもしれないが、今は鉄チャンがとりあえず市民権を得ているようだし、とりわけ小湊鉄道に関しては乗るだけでも楽しめる路線であることは間違いない。

 朝早く家を出て、2時間余りかけて小湊鉄道の起点、千葉県市原市五井駅までやってきた。本当は7時23分発の上総中野行きに乗りたかったのだが、家を出るのが予定より数分遅れたせいで、電車が一本遅くなり、間に合わなかった。次は8時20分発で、途中の上総牛久行きである。
 毎回思うのだが、この手前に置いてある無蓋貨車。何か意味があるのだろうか。雰囲気を出すための演出としか思えないのだが…。

 いかにも平成的なJR内房線の車両と、昭和度100%の小湊鉄道キハ200。


 今回は小湊鉄道いすみ鉄道を乗り継ぐ房総横断乗車券(片道)を買おうかとも思ったが、結局はいつもと同じ小湊鉄道の一日フリー乗車券を購入。
 1800円もするが、五井から終点・上総中野までの片道運賃が1410円なので、往復するだけで、1000円以上お得。

 かなり待って8時20分発の上総牛久行きに乗車。でも、たった4分乗っただけで、次の上総村上駅にて下車。


 近くに上総国分寺跡(国史跡)があるらしいので、行ってみた。大体の方向しか分からないが、遠くにこんもりした森があり、高台になっているようだから、あの辺だろうと見当をつけて歩きだす。ニイニイゼミが賑やか。朝から日差しがきつい。
 今日は強い日差しと急な雨に備えて、最近入手したばかりの晴雨兼用の傘を持ってきたので、さっそく初めて差してみた。傍からどう見えるかはともかく、自分としては雨の日に傘を差すのと変わらないので違和感はない。日差しを遮れるぶん、やはり楽だ。僕としては熱中症予防のために男も日傘をさした方がいいのでは、と日ごろから考えていたのだが、周囲の女性に聞いてみると、いいと思う、という声もあれば、男の日傘はダメでしょ、という声もある。でも、男が日傘をさしてはいけない理由がわからない。世の男性の皆さん、炎天下では日傘、差しましょう。普及すれば、それだけ経済効果もあるわけだし…。

 とにかく、10分ほど歩き、「こんもりした森」の正体だった戸隠神社に沿って坂を登ると、台地上に夏草に覆われた国分寺跡があった。東京の武蔵国分寺跡と似た雰囲気で、今も寺がある。


 江戸時代に建立された国分寺薬師堂。茅葺きの入母屋造り。


 ムクドリオナガが多い。

 夏草に埋もれて遠い昔の大伽藍の礎石が点在している。写真の場所には七重塔があったようだ。律令時代にはここが上総国の中心だったわけで、今も市原市役所が近くにある。
 来た道を戻るのもつまらないので、一つ先の海士有木駅まで歩いてみた。
 溜池。後で地図で確認したら雷電池というらしい。

 田園風景と新興住宅地が混在する中を勘を頼りに歩いていくと、線路沿いの道に出た。

 彼方に水門が…。あそこを養老川が流れているようだ。水門好きとしては間近で眺めたかったが、列車の時間もあるので今回は断念。

 海士有木駅は予想以上に遠かった。線路のずっと先、赤信号があるあたりが駅だろう。あとで調べたら、上総村上〜海士有木は2.9キロであることが分かったが、道路はそれよりずっと遠回りだった。

 アオサギ

 まだ駅が見えないうちに、乗るつもりだった上総中野行きが行ってしまった。
 ようやく駅にたどり着いた。


 ブラタモリのポスターが貼ってあった。タモリさんも小湊鉄道にやってきたんですね。

 今は地方のローカル線でもいかにも平成風のカラフルなデザインだったり、かわいいキャラクターが描かれていたり…で、こういう絵になる車両というと、小湊鉄道ぐらいしか存在しない。なので、昔ながらの旅情を感じさせる映像を求めて、テレビ、映画、CM、音楽PVなど、次々と撮影にやってくるのだ。定番はこの先の上総鶴舞駅だが、このブラタモポスターはここでしか見かけなかった、ということは撮影場所は海士有木駅

 次の列車は9時46分発のまた上総牛久行き。
 つづく。

(おまけ)今日の夕空