オランウータンのキュー

 昨夜は小学校のクラス会があり、帰宅したのが午前2時過ぎ。なので、何となく寝不足気味の日曜日。天気もスッキリしない。
 さて、多摩動物公園のオランウータンは複数の個体を一緒に運動場に出すことで、さまざまな“人間”関係の有り様を見せてくれるところがひとつの見どころでもあり、メスと子どもたちがいる運動場にはいつもお客さんが集まっている。
 親子3代。左から1歳のアピ♂。母親のチャッピー42歳。祖母のジプシー60歳。姉のミンピー8歳。


 一方、オトナのオスは多摩にはキューとボルネオの2頭がいるが、野生と同様の単独生活で、運動場にも1頭だけで出ている。そのぶん、オスならではの独特の風貌には迫力があるものの、もうひとつ面白みに欠けるようで、一日中オランウータンに張り付いて写真を撮っている常連さんもあまりやってこない。
 しかし、このところ、オスとしては国内最高齢のキュー(46歳)を見ていて、面白いことに気がついた。




 それはキューがこちらを見たのを確認して、画面左の窓のある場所へ僕が移動すると、キューは必ずそこへやってくるということなのだ。


 僕の姿を見ると、ほぼ100パーセント、近づいてくる。

 そして、僕の目の前でガラスに顔をくっつけるのだ。

 そして、どういうつもりなのかキスするみたいに唇を突き出したりもする。


 ガラスをはさんで、顔をくっつけ合っていると、あとから来たお客さんには、“ふたり”の関係を邪魔してはいけないのではないか、というような雰囲気が生まれているらしい(笑)。

 それも何だか恥ずかしいので、ほかの人に場所を譲ると、キューはそのうち窓から離れていってしまう。

 僕もしばらくほかの動物を見たりしてから、再びオランウータン舎に戻り、また窓の前に立つと、キューはすぐにやってきて、同じようにガラスに顔をつけて挨拶してくれる。台の上でのんびり寝そべっているような時でも、僕に気がつくと、すぐにやってきてくれる。
 ほかの人にも同じようなことをするのかどうか、分からないが、キューと友達になれたような気がして、ちょっと嬉しい。

 もし、僕がキューのいる運動場に立ち入ったら、どんなことが起きるのだろうか。

 上野動物園で人工繁殖に取り組んでいたニホンライチョウのヒナは残る2羽も5〜6日にかけて相次いで死亡。これで5羽が全滅という大変残念な結果となった。
 この取り組みはこれでおしまいというわけではないだろうから、消えた5羽の命を無駄にせず、来年以降に生かしてほしい。
 上野と同時に乗鞍岳から採卵してライチョウを育てている富山市ファミリーパークでは3羽が育っているようだ。