タスマニアデビル

 多摩動物公園にオーストラリアからやってきた現存する世界最大の肉食有袋類タスマニアデビル。6月11日から公開が始まった。
 夜行性で、動物の死骸に群がる習性(スカベンジャー=死肉食動物)やまさに悪魔を思わせる鳴き声から、こんな名前がついたが、小さなクマみたいで、案外かわいい。フクロネコ科。


 でも、なんとなく体のバランスが奇妙な印象も。


 昔はオーストラリア大陸にも生息していたようだが、数百年前に絶滅し、現在はタスマニア島のみに生息している。
 かつては家畜を襲う害獣として駆除され、数を減らしたが、その後、保護されるようになった。ところが、近年、デビル顔面腫瘍症という伝染病により再び絶滅の危機に瀕し、本国で絶滅危惧種に指定されているそうだ。そこで海外の動物園にも伝染病予防のための分散飼育が呼びかけられ、多摩動物公園保全プログラムに参画することになったのだという。
 日本では1980年代〜90年代に天王寺動物園円山動物園で飼育されていて、今回は20年ぶりに日本での飼育展示ということになった。東京では初めてだ。
 今回来園したのは2013年5月1日生まれの2頭のメス。名前はいずれも現地の先住民族の言葉で「星」と「影」を意味するマルジューナとメイディーナ。
 タスマニアでは事故死したワラビーなどを与えていたそうだが、多摩ではそういうわけにもいかず、鶏肉などを与えている。多摩の肉食獣の餌の定番、馬肉はあまり食べなかったそうだ。

 肉に食らいつく姿はやっぱり悪魔っぽい?








 今回の来園は2頭ともメスで、日本でタスマニアデビルに対する理解を広めるための親善大使的な役割が主目的のようだが、将来的にはオスを導入して繁殖に取り組むことになるのかもしれない。
 タスマニアデビルは1回の出産で米粒ほどの赤ちゃんを20〜40匹も産み、それが母親の袋の中で育つわけだが、乳首は4つしかないため、そこで大多数が淘汰されてしまうとのこと。赤ちゃんは生まれると同時に自分で母親の袋の中によじ登り、乳首にたどり着くまでに厳しい生存競争があるのだ。

 デビルちゃんたちにとって湿度の高い日本の夏は初めての経験。基本的に夜行性ということもあり、この写真のように動き回っている姿が見られるのはかなりラッキーなことではある。大抵は寝小屋の中で寝ている。

 ネット上でタスマニアデビルの鳴き声の動画を見つけた。