ダイヤモンド富士とエレアス・ライヴ

 夕方の井の頭自然文化園前の歩道橋からダイヤモンド富士が見えた。

夕陽がまぶしすぎて、富士山が見えない。

 太陽が欠け始めて、ようやく富士山の輪郭が見えてくる。




 さて、僕が夕方、井の頭公園にいたのは吉祥寺でヴァイオリン・フロントのロックバンド、エレクトリック・アストゥーリアス(通称エレアス)のライヴがあったからで、今回の会場は東急百貨店裏にあるRock Joint GBというライヴハウス
 最近のこのブログでの音楽関係の記事というと、アストゥーリアスとステラ・リー・ジョーンズという2つのバンドのライヴの話ばかりなのような気がするが(来週はステラのライヴがある)、今日のエレアスのライヴは彼らが2013年にアメリカで演奏した時の映像を収録したDVDの発売記念と、来月、世界の超大物アーティストがカリブ海をクルーズする豪華客船上で演奏する音楽イベント「Cruise to the Edge 2017」にエレアスも2度目の出演をすることになっており、その壮行会も兼ねたもの。今年のCTTEにはイエス、フォーカス、カンサス、カーヴド・エア、S.ハケットなど錚々たるアーティストが参加するそうだ(と、これだけ名前を並べても全然知らない、という人がほとんどのような気がするが…)。

 1960年代末にヨーロッパで生まれたプログレッシヴロックに多大な影響を受け、しばしば“日本のマイク・オールドフィールド”と評される大山曜さんがソロ・プロジェクトとしてアストゥーリアスを始動させて今年で30周年。大山さん自身が「こんなマニアックな音楽をよく30年も続けられたものだ」と語っていたが、西洋音楽の伝統の延長線上にあるプログレッシヴロックに日本的な美意識がブレンドされ、単なるフォロワーに留まらない独特の魅力をもった音楽へと昇華させたことで、欧米のファンにもアピールするのだろうと思う。今日のライヴを観て、改めてそう思った。フレンチやイタリアンの日本人シェフが本場の食通をも唸らせる味を作りだすというのに似ているかもしれない。

 今回DVD化された2013年のアメリカのロックフェスでのライヴは当初、スケジュールや経費の都合で出演依頼を断ったのを、ギャラを増額するからなんとか出演してくれという熱烈なオファーがあって実現したもので、演奏時間も2時間の枠を与えられたという破格の扱いだったとのこと。主催者をして「10年間のフェスに出演した名だたるバンドの中でベスト3に入る」と言わしめた圧巻の演奏でアメリカの聴衆を熱狂させたライヴが完全収録された映像作品は非常に嬉しい。実際、演奏は素晴らしいし、各メンバーのプレイを的確にとらえた映像も期待以上の出来。
 ついでに今日の先行販売では限定特典として紅一点のヴァイオリニスト、テイセナさんのポートレイトを使ったポストカードが1枚封入されていた。
 これは前回のクルージングライヴに参加した際、船内のフォトスタジオの前をたまたま通りかかったステージ衣装姿のテイさんが「ちょっと撮影して行かないか」と呼びとめられ、撮ってもらったものだという。その出来がすごくいいので、今回、ポストカードを作成したそうだ。写真は3種類あり、そのうちのどれか1枚が封入されている。「ということは、何が言いたいか、分かりますね?」と大山氏。ここで客席爆笑。エレアスもアイドル商法?!と思ったら、「グリコのおまけみたいになってます」と大山氏。たとえが昭和だ。もちろん、DVDを3枚買ったところで、写真がコンプリートできるとは限らないわけだけど。

 とにかく、今日のライヴも初披露の新曲も含め、圧倒的な演奏で、十分に堪能した。
 それにしても、かつては演奏中、ずっと伏し目がちというか目を閉じてヴァイオリンを弾いていて、MCでも一言も喋らないため、なんとなくミステリアスな印象だったテイさんだが、最近は非常ににこやかで楽しそうに演奏するようになった。一種の風格だろうか。