STELLA LEE JONESライヴ

 先週の土曜日は吉祥寺でエレクトリック・アストゥーリアスのライヴだったが、今週は横浜のライヴハウスHey-JOEでエレアスのギタリスト、平田聡さんが率いるバンド、ステラ・リー・ジョーンズのライヴ。

 18時半開場、19時開演。小さな店なので、客席は満員、立ち見も出る盛況だった。
 ステージと客席は区別のない同一のフロアで、ヤマハのグランドピアノが置かれている上に、7人編成の大所帯バンドなので、バンドメンバーと客の距離が異様に近い。メンバーが楽屋とステージの間を出入りするのも、わずかな狭間をすり抜けるようにしないといけないほどだ。
 至近距離で繰り広げられる演奏を聴けるのは嬉しいけれど、大きなホールのステージに立つステラも見てみたいと思う。

ステラはヴァイオリン、アコーディオン、ギター、ピアノ、ベース、ドラムス、パーカッションというロックバンドとしては異色の編成だが、現在、パーカッションの正規メンバーが不在で、今日のライヴでは昨年11月に出た新作の録音に参加した相川瞳さん(美人!)がゲスト出演。ゲストといっても、ステラの音楽にパーカッションは不可欠で、さまざまな楽器を終始鳴らし続けなくてはならないので、大変忙しいパートでもある。今回初めて披露された新曲ではシロフォン(要するに木琴)も演奏するなど、大活躍だった。
エレアスがリーダー大山曜氏の気まじめな性格を反映してか、プログレッシヴロックの正統派と呼ぶに相応しい、複雑ながらもわりとカッチリとしたまさに王道的な楽曲および演奏なのに対して、ステラは同じく極めて緻密に書きこまれた構築的な楽曲であるとはいえ、ロック、ジャズ、クラシック〜現代音楽など様々な音楽要素が入り乱れて、一筋縄ではいかない複雑な音楽性が特徴といえるだろうか。リズムは複雑で演奏難度も異様に高そうで、曲がどのように展開していくのか、初めて聴く者にはまるで読めない。メンバーの中にジャズ系のミュージシャンも多いので、構築された中に即興性も感じさせ、音楽は生命感が溢れている。アヴァンギャルドであり、かつノスタルジック。まるで未知の世界を旅するような音楽体験が味わえた。
 そして、ステラのライヴでは音楽性の高さとMCのグダグダ感の落差も魅力となっているが、いつも喋るたびにメンバーから激しく突っ込まれるリーダー平田氏が今回は事前に“良いMC、悪いMC”についてネット検索して、悪いMCとは他人の誹謗中傷および内輪ネタであるということを調べてきたといいつつ、アルバムレコーディング時の内輪話など悪いMCの典型(?)へと入ってゆくのであった。


個人的には2016年のNo.1アルバム。今日の客席にはこのアルバムジャケットを手掛けたイラストレーター、ナカガワ暢さんも来ていた。

エスケイプ・フロム・リアリティ(Escape From Reality)

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