バレンタイン・・・。といっても、多摩動物公園にいるオランウータンのことである。
1986年2月14日に生まれたのでこの名前。今日が31歳の誕生日だ。
英国の動物園で生まれた彼女は人間に育てられたため、ほかのオランウータンと接したことがほとんどない。オランウータンとしての生き方も知らない。
日本に来て、2度の出産を経験したが、子育てができず、赤ちゃんはいずれも人工哺育となった。
そこで娘のチェリアとともにオランウータンとしての生き方を学ぶために、昨年の暮れに横浜のズーラシアから多摩動物公園にやってきたのだった。
2歳のチェリアは51歳のジュリーに預けられ、多摩での生活を順調にスタートできたが、母親のバレンタインのほうはどうだろうか。
最高齢のジプシーらと一緒に運動場に出たこともあったようだが、基本的にはまだ単独で出ている。
地面に下りたがらず、ずっと高いところにいる。
室内展示場の床にまかれた餌を食べる時も、こんな具合。決して、下に降りようとしない。
バレンタインが地面を歩く日はくるだろうか。それよりも、ほかのオランウータンの仲間に入っていける日はいつになるのだろう。
養母のジュリーにすっかりなついてしまったチェリアは今後、実母と対面したとしても、もはやバレンタインはどこかのおばちゃんでしかないのだろう。