早春の都民の森(その2)

 先週末、檜原村都民の森でのイベント「アニマルウォッチングと冬の星座観察」に参加した話の続き。
夕暮れ迫る都民の森。朝は晴れていたが、午後からすっかり曇ってしまった。星空は拝めるのだろうか。

 森の拠点施設・森林館の2階にある研修室から窓外の斜面に出てくる動物を待つ。いつ出てくるかは動物次第。すぐ来るかもしれないし、何も出てこないかもしれない。一応、パンくずが撒いてあるらしい。

 それぞれに夕食を終えた参加者が集まってきて、観察を始めてまもない18時08分、ハクビシンがやってきた。


 さらに18時半前後にテンが3匹相次いで登場。一家だろうか。ただ、まだハクビシンが居座っているので、遠巻きに見ている感じ。
 やがて、ハクビシンが姿を消して、ようやく餌探し。木に登ったり、木から木へ飛び移ったり、かなり活発に動き回る。

 まだ冬毛のテン。顔が白いのは雪に紛れてネズミやリスなどの獲物を狙うためらしい。夏毛になると顔は真っ黒になる。闇に紛れて獲物を襲うのだ。その中間期には目の周りだけ黒いパンダ顔になる。


その後、またハクビシンが戻ってきて、テンを追い払ったり、ハクビシンがいなくなって、またテンが来たりを繰り返す。そろそろ他の動物を見てみたい。可能性が高いのはタヌキだが、キツネが来ることもあるようだ。みんなが寝静まった深夜のことが多いそうだけど。
 テン。

 ハクビシン

一方、テラスでは天体望遠鏡をセットして星空ウォッチング。日没の時点では完全な曇り空で、今夜は星は見えないかな、と思ったのだが、いつのまにか南から西にかけて雲が切れて、星が光っていた。当然ながら寒い。

 稜線の彼方に沈みかけのオリオン座。

ベテルギウス(オリオン座)とシリウスおおいぬ座)とプロキオンこいぬ座)が作る「冬の大三角」やアルデバラン(おうし座)、リゲル(オリオン座)、シリウスプロキオンポルックス(ふたご座)、カペラ(ぎょしゃ座)を結ぶ六角形「冬のダイヤモンド」を眺める。
 いつ超新星爆発を起こして消滅してもおかしくない老いた星ベテルギウスのオレンジ色の光やオリオン大星雲を天体望遠鏡で観察したり、おうし座のプレアデス星団(すばる)を双眼鏡で観察したり。「すばる」は視力が両眼2.0だった小学生の頃、肉眼でもはっきり見えたのに、今はぼやーっとしか見えないのが悲しい。


研修室とテラスを行ったり来たりしながら過ごしているうちに雲がすっかりとれて、全天の星空が広がった。北東の稜線から北斗七星が昇ってきて、7つの星がすべて見えだした。

 都心方面の仄かに明るい東の空には木星が昇ってきた。天体望遠鏡で縞模様や4つの衛星を観察。

そうやって夜空を見上げていると、頻繁に飛行機が西へ向かって飛んでいく。東京都内とは思えない山奥だが、やっぱりここは東京なのだ。
 それにしても眠い。けさは早起きしたので、寝不足気味である。ということで、9時半ごろには自分の寝袋に潜り込む。都民の森には宿泊施設がないので、こうしたイベントは寝袋持参なのだ(予約すれば無料レンタルも可)。
 ちなみに僕の寝袋は20年ほど前に北海道の知床半島に近い斜里のスポーツ用品店で見つけたバーゲン品である。自転車ツーリング中、知床半島のどこかで荷台から落としたのか、寝袋を紛失してしまい、仕方なく購入したものだ。でかくて嵩張るのが難点だが、意外に重宝している。

 午前2時ごろ、目が覚めた。こんな時間に目が覚めたら、また眠ることに専念すればいいわけだが、外の様子も気になるので、いったん起きて研修室に行ってみた。まだ起きている人がいたが、テンがうろちょろしているだけで、タヌキなどは出ていないようだった。結局、この夜はハクビシンとテンが出ただけらしかった。
月が昇っていた。


 もうひと眠りして、4時過ぎに起きる。あと1カ月もすれば、この時間帯は山全体が野鳥のコーラスに満ち溢れ、感動的なのだが、今は静かなものだ。ただフクロウの声を聞いたという人もいたようだった。
西の稜線に近づいた北斗七星。


 
4時半の月。

5時。日曜日の朝がやってきた。

 つづく。