カーリング世界選手権

 先月、カーリングの日本選手権について記事にした時に優勝した中部電力(女子)とコンサドーレ(男子)が日本代表として出場する世界選手権で世界の強豪を相手にどこまでやれるか楽しみ、と書いておきながら、何も触れないでいるのもどうか、と思い、世界選手権についても書いておこう。

 現在はデンマークで女子の大会が行われており、NHK‐BSで日本の試合はすべて生中継されている。出場13カ国が総当たりの予選リーグは7日間で12試合というハードスケジュールで、選手はもちろん大変だが、テレビ観戦するほうも大変だ。しかも、1試合に3時間近くかかる。それでも僕は録画したものも含めて全試合観てしまった。

 僕がカーリングを知ったのはずいぶん前のことだが、当時はスポーツというより北国の人々が長く厳しい冬に楽しむ遊びという認識だった。氷上で石を滑らせ、デッキブラシで氷をゴシゴシ掃いている姿は滑稽にも感じられて、僕はカーリングをかなりナメていた、と今になって思う。だから、旅先の稚内カーリングを体験するチャンスがあった時も「べつにやらなくていいや」と思ってしまったのだ。

 そのカーリングのトップレベルの試合を最初にちゃんと観たのは2006年のトリノ五輪で、基本的なルールなども初めて知って、案外面白いものだな、という気持ちにはなった。しかし、一時的に盛り上がっても、オリンピックが終われば忘れられ、4年後にまたちょっとしたブームになるという世間一般と同じで、僕もそれ以上ということはなかった。

 そして、昨年のピョンチャン五輪で女子のロコ・ソラーレが初めて銅メダルを獲得し、今まで以上のカーリングブームが到来したかと思えたのだが、その直後の世界選手権(富士急が出場)はまったく話題にならず。結局、世間の関心は「そだねー」と「もぐもぐタイム」だけなのか、とがっかりしながら、僕は富士急の戦いをテレビ観戦していたのだった。予選敗退。

 あれから1年、日本選手権の中継はけっこう観たので、ルールや基本戦術もほぼ理解したし、見れば見るほど面白い競技だと思うようにもなった。個人的にはウィンタースポーツでは一番面白いかも、とすら思う。野球と同じぐらい長い試合でも気を抜く暇がなく、ずっと集中して見ていられる。しばしば「氷上のチェス」などと表現されるが、チェスは全然知らないので、将棋と比較すると、次の一手をどこに打つかを考えるという点ではカーリングも極めて頭脳戦の要素が濃い。しかし、将棋と違って、カーリングはその駒(ストーン)を置こうと思った場所に置くことがとても難しいのだ。将棋の名人が手を滑らせて置きたい場所とは違うマスに駒を置いてしまうなんていうことはまず起こらないが、カーリングでは狙った場所の前後左右にずれて置いてしまうということが頻繁に起こる。そこが面白い。

 とにかく、カーリングの試合を連日観ているわけだ。もう少し早い時点でこの記事を書こうと思っていたのだが、ぐずぐずしているうちに予選リーグは終わってしまった。

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www1.nhk.or.jp

 

 日本選手権で対ロコ・ソラーレ3連勝を含む10戦全勝という圧倒的な強さで優勝して日本代表となった中部電力は世界選手権でも初戦でカーリング発祥の地スコットランドに10‐4で圧勝。続くアメリカ戦も9‐5で勝利と、日本選手権の強さは本物だったと思わせたが、その後、ドイツ、ロシアに連敗。しかし、この大会連覇中の強豪カナダには7‐5で勝利と、いい感じだった。ところが、ピョンチャン銀メダルの韓国のあの「めがね先輩」のチームを破って出場してきた全員19歳という若い韓国チームに4‐11で大敗。さらにそれまで6戦全敗だった地元デンマーク戦でもミスの連発で1‐7とまたまた大敗。フォースの北澤育恵のショットが全然決まらず、チーム全体の調子もすっかり狂って、どん底の状態に落ち込んでしまう。3勝4敗と負けが先行し、上位6チームによる決勝トーナメント進出は難しいかな、という感じだった。

 その後、デンマーク戦と同日のフィンランド戦では見違えるような試合運びで10‐4と勝利。ラトビアにも9-3と圧勝。強豪スイスには6‐7と惜敗だったが、昨日、好調の中国に6‐4で勝った。北澤のショット成功率が99%と完全に立ち直ったのが大きい。これで6勝5敗となり、同率で並んでいるアメリカ、カナダには直接対決で勝利しているので日本の予選突破が決まった。予選最終戦はピョンチャンの金メダリストでこの大会でも首位を走るスウェーデンが相手で、互角の戦いだったが、8-9と惜しい敗戦。結局、日本は予選6位。

 予選リーグ結果

 1位 スウェーデン  11勝1敗

 2位 韓国      9勝3敗

 3位 ロシア     9勝3敗

 4位 スイス     8勝4敗

 5位 中国      7勝5敗

 6位 日本      6勝6敗

 以下、7位アメリカ、8位カナダ、9位ドイツ、10位スコットランド、11位デンマーク、12位フィンランド、13位ラトビア

 

 今日はこの後、3位のロシアと対戦だ。勝てば準決勝進出だが、どうなるか。

(追記)ロシアとの順位決定戦。日本はフォース北澤のミラクルショットが飛び出したり、相手の致命的なミスに乗じて一挙4点を奪ったりで、11‐3と大差をつけてロシアを撃破。ベスト4入りを決め、明日未明3時から予選1位のスウェーデンに再び挑む。


中部電力 北澤選手 ミラクルショット カーリング女子世界選手権2019