越谷オサムの『まれびとパレード』を読んだ。
「Surfin' Of The Dead(邦題:サーフィン・ゾンビ)」、「弟のデート」「泥侍」「ジャッキーズの夜ふかし」の4編から成る作品集で、いずれの作品にも日常世界に突如として現れる異形の者=まれびとが登場する。ゾンビであり、座敷わらしであり、泥田坊であり、邪鬼である。
越谷オサムの作品にはこれまでにも幽霊だの魔法使いだのが主人公の前に姿を現し、当たり前のように会話をし、心を通わせるという作品があるので、もはや何が出てきても驚かないが、実際にはありえないような存在なのにリアリティを感じさせつつ読ませるところは、いかにも越谷作品らしい。
だからゾンビが出てきても妖怪が出てきても怖くはない。ユーモラスですらある。
作品としても、ほのぼのとしていたり、痛快だったり・・・。「泥侍」のラストはちょっと弾け過ぎでは?と思わないでもないけれど。
奈良・興福寺で平安初期から1200年もずっと四天王に踏まれ続けている邪鬼たちのある一夜を描いた「ジャッキーズの夜ふかし」はかわいい。興福寺に行って実際に邪鬼を拝みたくなった。
楽しめることは間違いない。
(きょうの1曲)GROBSCHNITT/Severity Town