コウノトリ「ひかる」と「歌」にヒナ誕生

 千葉県野田市で野生に放されたコウノトリのうち、2016年放鳥の「ひかる」(4歳♂)と2018年に徳島県で生まれた「歌」(2歳♀)は日本最大の遊水地で、ラムサール条約登録湿地でもある渡良瀬遊水地の人工巣塔(栃木県小山市)で営巣中だったが、このほど少なくとも2羽のヒナが誕生しているのが確認されたという。

 コウノトリは1971年に野生絶滅し、最後の1羽が暮らしていた兵庫県豊岡市で2005年に人工繁殖した個体5羽を自然に放して野生復帰プロジェクトが始まり、西日本では次第に数が増えつつあるが、東日本では2015年に千葉県野田市で放鳥が始まり、野外繁殖も東日本では今回が初めて。

 「歌」も豊岡の放鳥個体が徳島県鳴門市で野外繁殖して誕生した個体で、昨年、関東に飛来し、野田生まれの「ヤマト」や「ひかる」などと行動を共にしていたが、秋には徳島に戻って越冬。この春、再び関東へ飛来し、「ひかる」とつがいになっていた。ただ、コウノトリの繁殖適齢期は4歳以降ともいい、これまで2歳での産卵は例が少なく、孵化に至った例は皆無ということだったので、「歌」が産卵したらしいと聞いても、どうかなぁ、と思っていたのだが、今回の嬉しいニュースとなった。ただ、天敵も多いだろうし、まだ油断はできない。何とか無事に育って、野生生まれのコウノトリが関東の空を飛び回る日が来てほしい。

 野田で放鳥されたほかの個体は「レイ」茨城県稲敷市に移動したぐらいで、大きな変化はなし。ただ、「ひかる」の兄で宮城県川崎町にいる「きずな」は最近、装着しているGPSが不通になってしまったらしい。そうなると、あとは目撃情報だけが頼りになる。

 写真は多摩動物公園コウノトリ親子。

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(きょうの1曲)Miles Davis / Blue In Green


Blue in Green by. Miles Davis