コウノトリ「歌」の死

 東京は久しぶりに青空の一日だったが、今日は残念な話。

 栃木県でケガの治療のため、保護されていたコウノトリの「歌」が死んでしまった。

 「歌」は2018年、徳島県生まれの2歳♀。去年、今年と2年連続で関東に飛来し、今年は千葉県野田市生まれの「ひかる」(4歳)とペアになり、栃木県小山市渡良瀬遊水地にある人工巣塔で営巣。2羽のヒナが誕生し、コウノトリの野生復帰プロジェクトが始まって以来、東日本で初めての繁殖に成功したばかりだった。

 「歌」は9月末に左脚を負傷しているのが確認され、治療のために一旦保護されたというニュースまでは知っていて、その後の様子が気になっていたのだが、ケガは思っていた以上の重傷だった。10月8日に保護され、栃木県の施設に収容された「歌」は左脚を骨折しており、しかも骨が皮膚を突き破る開放骨折。そこから細菌感染を発症する危険な状態で、結局、10月12日に左脚を切断。野生復帰の望みは絶たれ、飼育下での生存をめざしていたそうだが、手術から2日後の14日に衰弱死したそうだ。まだ2歳という最年少の母親で、これからもたくさんの子どもたちを育ててくれるだろうと期待していたのだが、あまりにも残念な結果になってしまった。ケガの原因は不明。

 残された「ひかる」は「歌」が捕獲された場所を何度も訪れているといい、突然いなくなったパートナーを探し回っているようだ。

 「歌」の子ども、「ゆう」♀と「わたる」♂は父親の「ひかる」や野田から飛来した昨年放鳥の「カズ」「レイ」と行動しているようだ。

 2015年から野田市で放鳥が始まったコウノトリも送電線や鉄塔に衝突したり、農業用ネットに引っかかったりして、すでに3羽が犠牲になっている。彼らを取り巻くニンゲンの文明は多くの危険をはらんでいるが、彼らが無事に生き延びて、少しでも多く数を増やしていってほしいと思う。

 写真は多摩動物公園コウノトリ

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