第81回菊花賞

 牡馬クラシック三冠レースの最終戦菊花賞京都競馬場・芝3000メートルで行われ、3歳牡馬18頭が初めて経験する長丁場に挑んだ。

 注目はもちろん福永祐一騎乗のコントレイル。春の二冠を無敗のまま制し、秋初戦の神戸新聞杯も楽勝。ここまで6戦全勝。父ディープインパクト以来15年ぶり、史上3頭目の無敗の三冠馬が誕生するかどうか。皐月賞・ダービーでいずれもコントレイルの2着だったサリオスが毎日王冠で年上の馬たちに圧勝し、そのサリオスですら勝てないコントレイルは途轍もなく強い、というのが大方の評価。ということで、単勝1.1倍という圧倒的な1番人気となった。

 レースはキメラヴェリテがスタートから飛び出し、先頭で引っ張るスローペース。好スタートのコントレイルは先行勢を見ながら7番手あたりの内側を進む。長距離戦だけにゆったりと追走したいところだが、鞍上・福永のアクションを見ると、馬はかなり力んで走っているようにも見える。ルメール騎乗のアリストテレス(4番人気)が斜め後ろにぴったりとくっついて、終始コントレイルにプレッシャーをかけているようだ。

 2周目の4コーナーでコントレイルが外から先行勢に並びかけ、アリストテレス(4番人気)も一緒に上がってくる。

 そして、最後の直線、コントレイルが他の馬を一気に突き放して圧勝するシーンを想像していたが、アリストテレスが外から迫り、2頭が後続を突き放して最後までデッドヒートの大激戦となった。最後の最後にアリストテレスが差し切ってしまうのかと思ったが、コントレイルはゴールまで先頭を譲らず、首差で先着。見事に菊花賞も制し、先週、無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトに続いて、無敗の三冠制覇を達成。この厳しいレースで勝ったのはやはり凄いとしか言い様がない。


菊花賞2020 結果

 父ディープインパクトに続いて無敗での三冠制覇を達成したコントレイルはこれで7戦7勝。G1は2歳時のホープフルSを含めて4勝目。

 過去2頭の無敗の三冠馬シンボリルドルフが次のジャパンカップで、そしてディープインパクト有馬記念で敗れ、いずれも三冠達成直後に無敗記録が途切れているが、コントレイルはどうなるだろうか。この後も勝ち続けて、偉大に父を超えてほしい。

 ところで、2着のアリストテレス。僕は今までこの馬を全く知らなかったのだが、父はデアリングタクトと同じエピファネイア。母の父がディープインパクトという血統。これで9戦3勝、2着5回。最初から最後までコントレイルをぴったりとマークして、同じペースで走り切り、改めて映像を見ると、最初から最後まで2頭のマッチレースのような展開だった。恐らく、打倒コントレイルを狙った鞍上ルメールの作戦通りの展開で、アリストテレスとしては完璧なレースだったのだろう。勝ってもおかしくないレースだったが、それでも勝てなかったのは、やはりコントレイルが一枚上手だったということだ。とはいえ、アリストテレスも実は相当に強い馬かもしれない。今後が楽しみな1頭だ。

 

1着コントレイル(福永) 2着アリストテレス 3着サトノフラッグ

4着ディープボンド 5着ブラックホール