第40回ジャパンカップ

 競馬好きは世代の異なる歴代の名馬がもし一緒に走ったら、どの馬が勝つのだろう、としばしば夢想する。それは実現することのない夢に過ぎないのだが、今年のジャパンカップは日本競馬史上初めて3頭の三冠馬が激突する、まさにドリームレースとなった。夢の舞台は曇り空の東京競馬場・芝2400メートル。フランスからの遠征馬1頭を含む15頭が参戦した。

 今年、史上初めて無敗の三冠牝馬となったデアリングタクト、やはり無敗のまま三冠を制したコントレイルが相次いでジャパンカップ参戦を表明し、さらに天皇賞・秋で史上最多となるGⅠレース8勝目をあげた2018年の三冠牝馬アーモンドアイの出走とこのレースを最後に引退することが発表され、現役最強馬と2頭の3歳三冠馬、どの馬が最も強いのか、競馬ファンなら誰もがワクワク、ドキドキの気分でこの日を待っていたのだった。恐らく、世界中の競馬関係者が注目したはずだ。

 その中でも1番人気となったのはやはり現役最強馬アーモンドアイ。2番人気はこれが年上の馬とは初対決となるコントレイル。3番人気がデアリングタクト。ちなみに4番人気は昨年12月の香港ヴァーズ(G1)を制し、前走・京都大賞典(G2)でも優勝したグローリーヴェイズ。

 レースはキセキ(浜中)が先頭に立ち、ハイペースで後続を大きく引き離して逃げる展開。好スタートのアーモンドアイ(ルメール)は先行勢を前に行かせて、4~5番手の絶好の位置でレースを進める。デアリングタクト(松山)は中団の7番手。コントレイル(福永)は中団やや後ろの9番手あたりを進む。

 キセキが後続を引き離したまま最終コーナーを回り、最後の直線。逃げ込みを図るキセキを2番手にいたグローリーヴェイズ(川田)が早めに仕掛けて、とらえに行く。その後ろから馬場の真ん中に出たアーモンドアイも少し遅れて追い出し、一気に加速。カレンブーケドールが続き、さらに後続馬群からコントレイル、デアリングタクトも並んで追い込んでくる。コントレイルは外へ、デアリングタクトは内へ突っ込む。

 しかし、アーモンドアイが現役最強馬に相応しい走りでグローリーヴェイズ、そしてキセキをあっという間に交わして残り150メートルで先頭に立ち、そのままゴールイン。1馬身1/4遅れてコントレイルが2着に入り、激しい3着争いをゴール寸前で制して、クビ差でデアリングタクトが3着。3頭の三冠馬による夢の対決は人気順通りに3頭が1~3着を占め、まさにドリームレースと呼ぶに相応しい結末となった。


2020 ジャパンカップ

 アーモンドアイはロードカナロア産駒の牝5歳。これで通算15戦11勝。GⅠは最多勝記録を更新する9勝目。ジャパンカップは驚異的な世界レコードで優勝した3歳時に続く2勝目。現役最後のレースで無敗の三冠馬2頭の挑戦を跳ね返し、最強馬の称号を手放すことなく、ターフを去ることになる。 

 数年後には彼女の子どもが競馬場にデビューしてくるはず。最初の交配相手はデアリングタクトの父エピファネイアが有力だとか。

 敗れたコントレイル、デアリングタクトもそれぞれに強さは見せた。次走がどうなるのか分からないが、来年もさらに活躍してくれるだろう。

 

1着アーモンドアイ(ルメール) 2着コントレイル 3着デアリングタクト

4着カレンブーケドール 5着グローリーヴェイズ