大山(その3)

 11月3日に神奈川県の大山に登ってきた話の続き。標高1,252メートルの山頂をあとに下り始めるところから。時刻は10時20分。

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 下りは日向薬師方面へ下ることにする。途中までは過去にも利用したルートである。

 山頂の人目につきにくい場所に「熊出没注意」の掲示。遭遇する可能性は極めて低いと思うが、気をつけよう。

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 下り始めると、すぐに金属の格子状になった階段。シカなどの蹄のある動物はこのような場所を歩くのを嫌がるらしく、これと周囲に張り巡らしたネットで山頂への獣の侵入を阻止するということのようだ。山頂に通じる登山道のすべてに設置されているらしく、登ってきた時にも通った。

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 丸太を用いた階段をどんどん下っていく。尾根筋の明るい道だが、雲が多くなり、陽が翳ってきた。

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 広葉樹の林で、時折、きれいな紅葉や黄葉が見られたが、下っていくと、モミの木が目立ってくる。

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 シカの食害を防ぐためにモミの若木はネットで保護されている。まだ芽生えたばかりのモミの木もあちこちにある。

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 道はだんだんゴツゴツした岩が多くなり、膝や足首への衝撃も大きくなってきた。脚にとっては登りよりは下りのほうがきつい。

 このルートで登ってくる人も少なくないが、こちらもなかなか大変そうだ。途中、鎖

を頼りに下る、ちょっとした岩場もあり、そういうところではすれ違うことができないので、下で登りの人たちが待っていてくれたりする。待たせては悪いので、急いで下ろうとするが、あまり焦らずに慎重に下らないと危ない。

 実際、転倒して、額を岩にぶつけたらしく、おでこのあたりから出血している人がいた。僕も気をつけなければ、と益々慎重に一歩ずつ足場を確かめながら下る。

 1時間ほどで見晴台に着く。大山の山頂から2.25キロの地点である。ここからは東京方面の眺望が楽しめ、たくさんの人がお弁当など食べている。

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 ここから阿夫利神社下社方面と日向薬師方面に道が分かれ、日向薬師方面へ向かう。ここからが初めての道だ。まだ日向薬師までは4キロ以上ある。

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 しばらくはなだらかな尾根道で、右手にはススキが生えている。左手はヒノキの林。

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 急に出会う人も少なくなり、ちょっと心細くもなるが、それでも気持ちのよい道を下っていくと、立派なお地蔵様が立っていた。

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 これはあとで分かったことだが、この地蔵尊には「勝五郎地蔵」という名前がある。この地域では江戸時代に信州高遠の職人たちによって石切り場が開かれ、その優れた技術を最初に受け継いだ地元・日向の石工が勝五郎であり、彼が彫ったのがこの大きな地蔵尊というわけだ。高さはおよそ170センチ。

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 勝五郎地蔵を過ぎると、ヒノキ林の中、ジグザグに階段を下る「九十九曲がり」と呼ばれる急坂となる。階段を一歩一歩下りる時に地面が足をやさしく受け止めてくれるとありがたいのだが、ゴツゴツした石畳のようになっていて、一歩下りるごとに足へのダメージがけっこうある。

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 途中、何人かとすれ違い、カラ類やメジロの声を聞きながら、ひたすら下っていくと、だんだん下から水の音が聞こえてきて、林道に出た。すぐ下に沢があるようだ。

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 ようやくゴツゴツの階段から解放されて、ここからは林道を行くのかと思いきや、すぐにまた急な階段が分かれる。恐らく林道経由でも行けるはずだが、遠回りなのだろう。

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 大山山頂から4.2キロ、見晴台から1.9キロ。普通の道を歩くのなら、このぐらいは大した距離ではないが、険しい山道だとけっこうきつかった。日向薬師までまだ2.4キロもある。

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 さらに一歩ごとに足を痛めつけるような急な階段を下っていくと、ようやく沢に出て、木橋を渡る。ルリタテハがひらひらと飛んでいた。

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 ここから沢沿いに下ると、先ほどの林道に再び合流。山道はここまでで、あとは舗装された林道を行く。ここから日向(ひなた)の里で、古い寺社が多くなる。これまでの登山とは趣の異なる散策となるので、続きはまた明日。時刻は12時半になるところ。

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