日本シリーズ第6戦

 ヤクルトが3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦。冬の到来を感じさせる冷え込みの中、屋外球場のほっともっとフィールド神戸で行われた。先発はオリックスがエース山本、ヤクルトは高梨。

 このシリーズは先発投手がいずれも役目を果たし、一方的な展開のゲームがひとつもない接戦続きだが、今日も両投手がしっかりと役目を果たした。

 4回まで両チームとも無得点のまま進み、またまた息詰まる投手戦となったが、5回表、ヤクルトはオスナのヒットから二死二塁のチャンスを作ると、塩見がレフト前にタイムリーを放ち、1点を先制。

 しかし、その裏、オリックスも一死後に内野安打で出塁の若月を太田が送り、1番の福田が詰まりながらレフト前にヒットとし、若月がホームインですぐさま同点に追いつく。

 山本はその後、味方内野陣の守備の乱れもあったが、相手に得点を許さず、8回はヤクルトの山田、村上、サンタナをいずれも三振に打ち取るなど圧巻の投球。9回も志願してマウンドに上がり、ヤクルトに点を与えず、9回を141球1失点で投げ切った。しかし、オリックス打線もヤクルトのリリーフ陣に抑えられ、試合は延長戦に突入。

 オリックスは10回を平野が抑え、11回には42歳のコーチ兼任投手・能見が村上を左飛に打ち取るなどヤクルト打線に得点を許さず、サヨナラ勝ちを狙うが、10回途中から登板のヤクルトの守護神・マクガフも今日は気迫の投球で点を与えない。

 そして、引き分けの雰囲気が漂ってきた延長12回表、オリックスの富山が二死を奪ったところで、オリックスベンチは吉田凌にスイッチ。その吉田凌から塩見がレフト前ヒット。そして、代打の切り札・川端の時にキャッチャーがパスボールで二死二塁。ここで川端がタイムリーを放ち、ついにヤクルトが2-1と勝ち越しに成功。

 12回裏、オリックス最後の攻撃。この回もマクガフがマウンドに上がり、一死後、山足を死球で出塁させたが、1番福田をセンターフライ、2番宗をセカンドゴロに打ち取り、5時間に及んだ激闘が終わる。この瞬間、4勝2敗でヤクルトの日本一が決定した。試合終了時、時計の針は23時を回り、場内には最終電車の発車時刻が案内されていた。選手の吐く息も白い、厳しい寒さの中、球場にいたファンは体を動かしている選手以上に寒かっただろう。

 シリーズMVPは守備では好リードで投手陣を引っ張り、打撃でも6番打者として活躍した捕手の中村悠平。これは文句なしの選出だろう。オリックスとしては主軸の吉田正尚がシーズン終盤の骨折の影響で本来の打撃ではなかったのが響いたか。

 とにかく、日本シリーズ史上初めて全試合が2点差以内という接戦ばかりで、本当に最後まで目が離させない、面白い日本シリーズだった。特に今日の第6戦、5時間もの間、ずっと集中してテレビを見続けたというのは本当に久しぶりのことだった。

 第7戦までやってほしかったが、もうお腹いっぱいという気持ちもある。でも、今年もプロ野球シーズンが終わってしまって、ちょっと寂しい。来春が待ち遠しい。