昨年の秋、大山に登った時に参拝した神奈川県伊勢原市の日向薬師にまた行ってきた。小田急の駅で日向薬師特別展のチラシをみて、あの時も平安末~鎌倉、南北朝期の素晴らしい仏像の数々が公開されていたが、特別展とは何が特別なのだろう、という興味である。考えられるのは、普段非公開のあの鉈彫りの薬師三尊像が御開帳になっているということだが、そのわりにはチラシの表には別の薬師如来像の写真が載っている。でも、何かが特別なのだろう。会期は今月末まで。
あの時、日向から伊勢原駅までバスに乗ったが、車窓を眺めながら、この道は歩いても面白そうだと思ったこともあり、今回はウォーキングを兼ねて行ってみた。
結果から言うと、展示されている仏像は前回と同じで、鉈彫りの薬師三尊を奉安する厨子の扉は閉じられたままだった。何が特別かというと、仏像をライトアップして、それぞれの表情がより分かりやすくなっているということと、日本語と英語で仏像などの解説が聞けるタブレット端末が設置されているだけだった。
なので、特別展はあてはずれでもあったのだが、それでもこのお寺に収蔵されている仏像は関東では随一といえるほどの見事さで、一度は訪れる価値がある。二度訪れる価値もあるな、とは思った。
伊勢原駅で次の日向薬師行きのバスまで20分ほど待ち時間があり、駅前の案内地図を見ていたら、徒歩でも1時間ぐらいで着きそうだ、ということで歩いて行った。
途中には庚申塔や二十三夜塔、道祖神などが点在し、古墳(よろい塚古墳)があったりもする。
ヤギもいた。ここは前回、帰りのバスで気になったのだ。
そして、日向薬師入口に到着。前回は裏から入ることになってしまったが、今回はちゃんと表参道を通って参拝。
自然の岩盤が露出した参道を登っていくと、何やら落ち葉を掃くようなガサガサという音。お寺の人が掃除をしているのかと思ったら、猿だった。野生の猿。
まわりが猿だらけである。人間を恐れる風もなく、落ち葉をかき分けて、餌を探している。参拝を終えたお婆さんがそのそばを怖々と下ってくる。
「来た時もたくさんいて、もう怖くて・・・」
日向周辺ではミカンの栽培も行われており、地元の人にとっては憎むべき害獣なのかもしれないが、個人的には嬉しい遭遇だった。
帰りにはもう猿たちはどこかへ移動した後で、同じ場所でルリビタキ♂を目撃したが、写真は撮れず。
最初、歩くのは片道だけにするつもりだったが、結局、往復とも歩いてしまった。せいぜい十数キロだろう。
(きょうの1曲)ハイポジ/ぼくらはひとり