新宿駅東口の馬水槽

 何度も通っている場所なのに、今まで気に留めたことがなかったもの。新宿駅東口に置かれている赤大理石で造られた馬水槽。

 馬が交通手段の担い手だった時代の馬の水飲み場である。

 東京の上水道の育ての親・中島鋭司博士が明治34年から欧米諸国を視察した際、ロンドン水槽協会から東京市に寄贈されたもので、現在では世界に三つしかない貴重なものだという。明治39年、当時、有楽町にあった東京市役所前に置かれ、明治から大正にかけて馬がよく利用していたそうだ。

 上部が馬用、その下には犬猫用の水飲み場があり、裏側に人間用があるという動物愛護精神が表れたもの。

 「倫敦水槽協會寄贈」の文字が刻まれている。その下が犬猫用。

 裏側に人間用の水飲み場

 「馬水槽」としての役目を終えた後、西新宿の淀橋浄水場に移され、その後、昭和39年9月に新宿民衆駅完成を記念してこの場所に移され、一般公募により「みんなの泉」と命名されたとのこと。

 昭和61年には新宿区の有形文化財(工芸品)に指定されている。

 ところで、「新宿民衆駅」というのは、戦災で大きな被害を受けた鉄道が復興に際して、線路や車両を優先し、駅舎は仮設のままということが多く、国鉄が駅舎内に商業施設を設けることを前提に地元の民間資本を呼び込んで建設した駅舎のことをいう。要するにステーションデパートなどと呼ばれた駅ビルのことで、今の都市部の駅では普通になっている形態である。

 それにしても、新宿駅東口にこのような文化財が保存されているとは今まで気づかなかった。

 

(きょうの1曲)DOROTHY LITTLE HAPPY / コトノハ


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