第90回日本ダービー

 3歳クラシックの第2戦、90回目の東京優駿日本ダービー)が東京競馬場・芝2400メートルで行われ、3歳馬18頭が参戦した。

 1番人気は皐月賞を圧倒的な強さで制したソールオリエンス(横山武史)。2番人気はダービーと同じコースと距離で行われたトライアルの青葉賞を勝ったスキルヴィング(ルメール)。3番人気が皐月賞3着のファントムシーフ(武豊)。4番人気が同4着のタスティエーラ(レーン)。ここまでが単勝10倍を切る人気。

 レースはいきなり波乱の幕開け。8番人気のドゥラエレーデがスタート直後につまずいて騎手が落馬。馬はそのまま走り出す。その後、先行争いを制したパクスオトマニカが先頭で引っ張り、タスティエーラは4番手。ソールオリエンスは6番手の内。ファントムシーフとスキルヴィングは中団のやや後ろを進む。

 3コーナー過ぎではパクスオトマニカが後続をかなり引き離し、そのまま4コーナーを回る。パクスオトマニカが失速し、最後の直線では好位にいたタスティエーラがいち早く抜け出す。ソールオリエンスも馬群の中から猛然と追い込んできて、最後はハーツコンチェルト、ベラジオオペラと4頭による激戦となったが、早めに先頭に立っていたタスティエーラが2着にクビ差をつけて先頭でゴールイン。二冠目を狙ったソールオリエンスは2着に終わる。

 2番人気のスキルヴィングは4コーナーでは6番手あたりまで進出しており、さあ、ここから、というところだったが、そこから急失速して、最後は歩くように最下位でゴール。ゴールを過ぎてルメール騎手が下馬すると、馬はよろよろと歩いた後、倒れて、そのまま動かなくなった。急性心不全により死亡。青葉賞の勝ち馬はダービーでは勝てないというジンクスをこの馬こそ打ち破るのではないか、と期待したファンもたくさんいたはずで、だからこそ2番人気に推されたわけだが、競馬の神様はあまりにも残酷な形でジンクスを守ったのだった。

 競馬で馬が命を落とすというのは決して珍しいことではなく、今日のほかのレースでも故障で安楽死となった馬が出ている。僕は競馬を馬と人間のスポーツとして観ているだけで、馬券はほとんど買わないという競馬ファンとは言えない人間だが、やはり、このような出来事はつらいし、悲しい。ダービーは競馬の祭典などと呼ばれるが、今年は実に悲しいダービーとなって、勝った馬の姿よりも、芝の上で倒れて動かなくなったスキルヴィングとそこに寄り添うルメール騎手の姿のほうが目に焼き付いてしまった。


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 勝ったタスティエーラは新種牡馬サトノクラウンの初年度産駒。これで5戦3勝。重賞はディープ記念に続いて2勝目。G1は初制覇で、父に最初のG1タイトルをプレゼントしたことになる。

 鞍上D.レーン騎手は日本ダービー初勝利。

 

1着タスティエーラ(レーン) 2着ソールオリエンス 3着ハーツコンチェルト

4着ベラジオオペラ 5着ノッキングポイント