中山七里『おやすみラフマニノフ』

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)

おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)

「第一ヴァイオリンの主席奏者である音大生の晶は初音とともに秋の演奏会を控え、プロへの切符をつかむために練習に励んでいた。しかし完全密室で保管される、時価2億円のチェロ、ストラディバリウスが盗まれた。彼らの身にも不可解な事件が次々と起こり…。ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実! 美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー」

 まえに読んで面白かった『さよならドビュッシー』に続く第2弾。前作もそうだったけれど、演奏シーンの描写が秀逸で、実際に作中に登場する曲を聴いてみようかな、という気持ちになる。実は作中に出てくるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、巻末に参考CDとして挙げられているアシュケナージ(pf)、コンセルトヘボウ管弦楽団ハイティンク(指揮)のやつを僕も持っていて、けっこう聴いていたのだが、なぜか手放してしまった。この小説を片手に聴き直したら、また違った感動が味わえそうだ。

 ところで、この作品を読んで、今日9月11日が東日本大震災から1年半、アメリ同時多発テロから11年目にあたるだけでなく、名古屋市など東海地方を襲った記録的な集中豪雨、いわゆる「東海豪雨」から12年目にあたることを知った。