旅のアーカイヴス

鹿島鉄道の旅

久しぶりに小さな旅に出る。今回の目的は鹿島鉄道。常磐線の石岡から霞ヶ浦の北側を通って鉾田へ通じる27.2キロのローカル私鉄である。鉄道というのは旅の手段であって、目的にするのは変なわけだが、なかには一度は乗ってみたい鉄道というのもあるものだ。 …

近海郵船「ブルーゼファー」東京~釧路航路(1998年8月2日-4日)

北海道を一度でも旅すると病みつきになる。 こうなるだろうとは思っていたが、やっぱり今年の夏も北海道を自転車で走ることになった。 でも、まさかいきなりこんなことになるとは…。銀座のド真ん中でタイヤがパンクした。 初めはなぜタイヤの空気が抜けてし…

東京~釧路航路(1997年8月3日‐5日)

ついに北海道に旅立つことになった。 愛用の空色のビアンキを連れて・・・。 これまでにも北海道は幾度となく旅をしたけれど、それはすべて雪の季節のことだった。夏の旅は今回が初めて。 果てしなく広がる緑の大地への憧れはあったものの、夏の北海道といえ…

宮沢賢治記念館

旅の最終日は薄曇り。 朝食後、散歩がてら志戸平温泉まで2キロほど歩き、ついでにそこで露天風呂にもつかって、9時半のバスで花巻駅へ。 花巻からは10時12分発の釜石線に乗り、2つ目の新花巻下車。新幹線との接続駅であるが、花巻市街から離れているので…

花巻

青森市の山奥にある酸ケ湯温泉の一軒宿で迎えた朝。 窓の外は相変わらず雪だった。しかも、相当な降り方である。何といっても八甲田山の中腹、海抜925メートルの宿。軒先にはツララがずらりと下がり、冷え込みの厳しさを物語っている。 手首はまだ痛い。しか…

竜飛崎

函館0時10分出航の東日本フェリー2便「びいな」が津軽海峡を渡って青森港に到着したのは未明の3時50分。 寝ぼけ眼で下船して、とりあえずフェリーターミナルの建物へ。青函航路は24時間運航なので、こんな時刻でも待合室はあかあかと電灯がつき、片隅のラー…

津軽海峡 

小泊から五所川原へ (小泊の宿の窓からの風景) 津軽半島西海岸・小泊の宿で迎えた朝。刺身付きの朝食の後、8時過ぎに出発。 宿のおばさんに教わった通り、宿のすぐ裏手の「浜町」という停留所で五所川原行きのバスを待つ。 昨夜来の雪は今もちらつき、バ…

津軽逍遥 

旅先の朝 6時前に目が覚めた。見慣れぬ天井を見上げながら、旅先の宿にいることを思い出す。 今日は3月1日、日曜日。天気は回復して、薄い青色の空の下で日本海も穏やかな表情。沖合に貨物船や漁船が浮かんでいる。 庭に出て、まだ空っぽの露天風呂を見物…

五能線に乗って深浦へ 

五能線 上野発青森行きの夜行急行「津軽」は9時24分に秋田県の東能代駅に到着した。列車を降りると、いつしか小雨がポツポツと降り出していた。 とりあえず、駅の立ち食いそばで腹ごしらえしてから五能線に乗る。 五能線は東能代から日本海に沿って北上し、…

急行「津軽」の旅

上野と青森を奥羽本線経由で結んでいた伝統の夜行急行「津軽」。山形新幹線の工事の関係で仙山線経由となり、車両も583系電車となった末期の「津軽」号の乗車記。 駅に停まる列車の揺れで目が覚めた。 どこだろう…。 身を起こして寝ぼけ眼で車窓を見やる…

岩手雪まつり

函館発の夜行フェリーで未明の3時15分に青森港に到着。寒空の下に放り出される。 タクシーが2台ほど待っていたが、とりあえずフェリーターミナルの待合室へ。ベンチで寝ている人が1名いるほか、24時間営業のラーメン屋が運ちゃんたちで賑わっているが、ど…

函館の一日

函館のホテルで迎えた朝。今日は深夜のフェリーで青森に渡る予定なので、一日中函館にいられる。 威勢のいい掛け声が飛び交う朝市を見物した後、函館駅構内の「オアシス」という喫茶店でモーニングサービスの朝食を済ませ、荷物はコインロッカーに預ける。 …

下北半島へ

(ホテルの窓から見た青森駅) 青森の街は今日も朝から雪。積雪は20~30センチ程度で、この時季としてはかなり少ない。これでも東京なら大混乱だろうが、もちろん、青森では何事もないかのようにすべてが動いている。 真っ白になった街をぶらぶら歩き、青森…

急行「津軽」に乗って

「昭和」から「平成」に時代が改まって最初の旅は2月2日の22時30分に上野を発つ青森行きの夜行急行「津軽」で真冬の北国をめざした。 真冬とはいえ今年も暖冬だが、天気予報によれば、明日の日本列島は大陸からの季節風が強まり、全国的に「節分寒波」に見舞…

オランダ〜西ドイツ国際列車

1986年3月、まだオランダの港町ロッテルダムからドイツ(当時はまだ西ドイツ)のケルンまで国際急行列車に乗車した時の記録。 オランダ・ロッテルダムで迎える朝。街はひどい霧に包まれていた。泊まった宿から広い通りをはさんだ向かい側に結構大きなビルが…

エジンバラ〜インヴァネス〜カイル・オブ・ロッハルシュ 

スコットランドの都、エジンバラ(Edinburgh)駅から23時25分発のインヴァネス(Inverness)行き夜行列車に乗った。ディーゼル機関車に寝台車と2等座席車の編成。もちろん、僕は2等車である。車内は空いていて、わずかな旅人が列車の揺れに身を委ねているだ…

急行「だいせん1号」

9月8日、日曜日。西宮の祖父母宅で朝を迎え、弁当まで作ってもらって、9時前に出発。空は青く、今日も暑くなりそうだ。 まずは新大阪に出て、益田行きの急行「だいせん1号」(701D)に乗車。7両編成の古ぼけたディーゼルカーは9時42分に出発した。車内は…

稚内から東京へ(3)

羊蹄丸の青森入港は未明の4時30分。 眠りから覚めて、窓越しに青森港の灯台が青く光っているのを目にした瞬間、自分はもう北海道にいないんだな、と思う。あの北の大地はまた遥か遠い憧れの地になってしまった。 接岸作業が完了してタラップが下りると、一…

稚内から東京へ(2)

北海道で迎える最後の朝がやってきた。昨夜の雪も止み、よい天気になった。気温は氷点下8度。もうこのぐらいではちっとも驚かない。なんだ、その程度か、ってな感じである。 そして、最後に神様からのプレゼント。ダイヤモンド・ダスト。窓辺に立って目を凝…

稚内から東京へ(1) 

昭和60年晩冬/早春の北海道旅行。東京を急行「十和田」で出発してから17日目の夕刻、最北の街・稚内に到達しました。あとはもう帰るだけ。ここでは稚内から東京までの長い道のりを列車と青函連絡船を乗り継いで3日がかりで帰った記録を紹介します。 ちょ…

北海道縦断 Part2(紋別〜稚内) 

身を切るような寒さの中、紋別流氷の宿ユースホステルのすぐ下の浜辺は静まり返っていた。オホーツク海に昇る日の出を拝もうと、同宿の仲間たちと一緒に早起きしたのである。明るさを増した海に波はなく、紋別港の赤色灯台は規則的に明滅している。 浜に置き…

北海道縦断 Part1(釧路〜紋別)

釧路から根室本線・池北線・石北本線・名寄本線・宗谷本線・天北線を経由して稚内へ至る2日がかりの旅の記録。 池北線 雪の朝、太平洋岸の釧路から極北の稚内をめざす。もっとも、一日では行けないので、今夜は紋別に泊まる予定。 釧路まきばユースホステル…

羅臼脱出記

さて、3月11日。車は国道を標津へ向かって走っていた。隣でハンドルを握っているのは40代ぐらいの網走で水産関係の仕事をしているという人。 バスで建根別方面へ向かうというFさんと別れ、僕はひとり羅臼の宿を出発し、街はずれで手を上げたら一台目で停まっ…

知床の海〜限りなく暗黒に近いブルー(3)

2日目の朝 一夜明けた羅臼はまた雪だった。昨日ほどの悪天候ではないが、天気はよくない。 日曜日ということで、地元の写真家なども来て、茶の間で宿のおじさんと談笑している。僕らも朝食の後、話に加わって、船が出るかどうか聞いてみると、いま様子を見…

知床の海〜限りなく暗黒に近いブルー(2) 

知床半島の羅臼に行けば、越冬のために北から渡ってきた多数のオオワシやオジロワシを見ることができる、ユースホステルで出してくれる船に乗れば流氷の海でトドやアザラシの姿を目にすることもできる、という噂を聞きつけて、羅臼へやってきた。僕にとって…

知床の海〜限りなく暗黒に近いブルー(1)

1985年の早春に北海道を旅した時のこと。北海道の知床半島と網走の間にある浜小清水のユースホステルで、同宿者から、知床の羅臼にはオオワシやオジロワシがそれこそカラス並みにたくさんいて、また、羅臼のユースホステルでは流氷の海に船を出してくれてト…

根室本線最果て紀行

昭和60(1985)年3月1日、札幌発釧路行きの夜行急行「まりも3号」の寝台で目を覚ます。よく眠ったと思った。 ブラインドの隙間から覗くと、外はすでに白々と明るい。荒涼とした原野を走っており、まだ色彩を持たない太平洋が静かに打ち寄せている。同じ北海…

深名線の旅

今は存在しない旧国鉄・深名線の旅の記録。 北海道の数あるローカル線の中でも酷寒、豪雪、ついでに超過疎地帯を走る深名線に乗るべく、札幌11時半発の稚内行き急行「天北」に乗車。3時間以上かけて名寄までやってきた。14時39分到着。 深名線の列車は名寄…

北海道への旅(1985.2.25〜26)

1985年の晩冬から早春にかけての北海道旅行のプロローグ。上野発青森行きの急行「十和田」号と青函連絡船「摩周丸」の旅の記録。 2月末の寒い夜、上野駅。電車が着くたびに人々は競って乗り込み、家路を急ぐ。そんなラッシュの喧騒から少し離れて立っている…

名寄本線湧別支線&湧網線

前夜22時15分に札幌を発った網走行きの急行「大雪5号」は午前4時08分、深い闇の中で早くも目覚めた遠軽駅に停車した。プラットホームに降り立つと早朝の寒さが身にしみる。 降りたホームの反対側には古びたディーゼルカーが車内灯をあかあかとつけて待って…