東京都檜原村の都民の森での夜行性動物と野鳥の観察会に参加している。
僕としては、この観察会の最大の楽しみは実は未明から夜明けにかけての時間帯である。最初にこのイベントに参加した時(2000年)、夜明け前から野鳥が次々とさえずり始めて、やがて山全体が鳥の声で満ち溢れていったのが、あまりに感動的で、いまだに忘れられないのだ。
午前2時に目が覚めたので、テラスに出てみると、口笛のような高く細い声でトラツグミが鳴いている。昔から真夜中に不気味な声で鳴く怪鳥ヌエと恐れられた鳥である。この声を初めて聞いたのは北海道の屈斜路湖畔のキャンプ場だったが、この声を聞くと、真夜中の公園でブランコがひとりでに揺れている、という光景が思い浮かぶ。金属が触れ合い、軋む音にも似た、なんとも不思議な声である。どうやら2羽が鳴いているようだ。ほかにも起きている人がいて、「あの声はなんですか?」と聞かれる。
続いて、ヨタカも鳴き出す。キョキョキョキョキョキョキョ…。これもちょっと不思議な声で、山の中を移動しながら、2羽が鳴いている。
3時を過ぎて、カッコウの仲間ジュウイチも「ジュウイチ」と鳴き出す。
3時40分には同じカッコウの仲間のホトトギス。
4時05分には巣に戻るヒナコウモリ1匹。
この後、これもカッコウの仲間のツツドリのほか、キビタキやアカハラ、コルリ、マミジロ、ミソサザイ、ヒガラ、ヤブサメ、アオゲラなどの声が山の至るところから聞こえてきた。
しかし、早くも森林館近くに巣を作っているツミの声がしたせいか、やはり期待したほど小鳥は多くないようだ。みんな息を潜めているのかもしれない。カラスだけがツミにちょっかいを出している。
明るくなると、昼行性のニホンリスが3匹、4匹と姿を見せ、カケスもやってきた。
6時頃から野鳥観察で再び三頭大滝あたりまで出かける。
巣に餌を運ぶシジュウカラを見ながら行くと、コルリの声が近くで聞こえた。名前の通り、青い鳥で、僕はまだ姿を見たことがない。探してみると、近くのカラマツの枝に止まっていて、みんな各自の双眼鏡で観察したり、高倍率のスコープを交代で覗き込んだりする。
(コルリ)
ほかに山の稜線の木にツツドリ2羽がいたほか、ゴジュウカラ、センダイムシクイの姿を見たり、キクイタダキ、ヒガラ、ウグイスなどの声を聞く。
そして、オオルリの姿もばっちり見られた。やっぱり初夏の山はいいなぁ、と思う。
いつの間にか、奥多摩周遊道路ではまたバイクの音が聞こえ出し、朝からハイキングに訪れた人たちともすれ違うようになった。僕らはこの山の中で一夜を過ごしたんだぞぉ、と自慢したくなる。
9時前に森林館に戻り、閉会式の後、解散。とても名残惜しい気持ちになり、夕方まで山を歩き回ろうかとも考えたが、睡眠不足でもあり、午前中のバスで山を下ってきた。