阿川大樹『D列車(ドリーム・トレイン)でいこう』読了

D列車でいこう (徳間文庫)

D列車でいこう (徳間文庫)

 広島県の田舎を走る第三セクターのローカル線・山花鉄道は地域の過疎化による乗客の減少で廃止が決定している。徹底的な経営合理化を進め、わずか20人の社員ですべての業務をこなし、経営効率は優れているが、乗客が増える見込みはなく、年間3000万円の赤字を減らすことも出来そうにないため、存続は不可能と判断されたのだ。
 これといった観光資源もない、田舎のローカル鉄道を救うべく、東京から押しかけてきた3人。鉄道マニアの元官僚、出世コースをはずれた元銀行支店長、その支店長の部下でMBAも取得した才色兼備の総合職女子。彼らが設立した会社「ドリームトレイン」は山花鉄道に再生の可能性があると信じ、再建計画を立ち上げる。しかし、鉄道会社社長である山花町長はなぜか鉄道再建に乗り気ではない。
 さて、3人はこのローカル線を再生できるのか?
 経済小説っぽい要素を持ちながらも、3人が地元住民などを巻き込みつつ、奇想天外なアイデアを次々と実行していく後半が読む者をワクワクさせる。