珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 岡崎琢磨
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/08/04
- メディア: 文庫
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この一文を読むと、いかにも『ビブリア古書堂の事件手帖』の二番煎じを予想させる。舞台を鎌倉の古本屋から京都の珈琲店に変え、美人古書店主が美人バリスタに…。
宝島社の新人賞「このミステリーがすごい!」大賞で、受賞には及ばなかったものの、編集部推薦の“隠し玉”として刊行された一冊、ということである。著者と協議のうえ応募作を全面的に改稿したのだという。
『ビブリア』の二番煎じでもいいから、あのレベルの作品であることを期待して読んでみた。
結果的にいうと、『ビブリア』にはだいぶ及ばない。
読んでいて、引っかかる部分、釈然としない部分があっても、作者はスルーして、そのまま物語を進めていき、あとで、その部分が実は謎解きの伏線でした、というような箇所がいくつかあり、ミステリーとして、もうひとつだなぁ、と感じた。ただ、まんまと作者に騙された箇所も当然ながらあって、それなりに楽しめたことは確か。実際、読み出したら、最後まで一気に読んでしまった。まぁ、時間つぶしにはなる。
全面的に改稿したというわりには、まだ改めるべき点はありそうに思うのだが。もっと良くなる可能性があったはずの作品だと思う。個人的にこの手の作品は嫌いではないだけに、惜しい。