きょうは七夕。でも、相変わらず雨が降ったり止んだりの梅雨空で、星は見えず。
考えてみると、7月7日の夜に星空が広がっていたという記憶はほとんどない。少なくともここ数年はずっと雨や曇りではないか。
まぁ、日本から見えないだけで、空の上では織姫と彦星が年に一度の逢瀬を楽しんでいるのかもしれないし、そもそも織女星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)は16光年も離れているのだ。約160兆キロということになるが、この距離は途轍もなく広い宇宙全体からすれば、ご近所同士ではある。
そういえば、先週末の『タモリ倶楽部』(東京港の灯台ツアー企画)で東京港の5つの防波堤灯台のうち、2つが廃止されたことを知った。
廃止されたのは東京中央防波堤東灯台(白)と東京東防波堤灯台(赤)。東京ゲートブリッジの下をくぐる航路の両端にあった灯台で、廃止は昨年10月。
この灯台は東京発釧路行きのフェリーの船上から眺めたので、覚えている。天の川をはさんだ織姫と彦星ではないけれど、大型船が通る水路をはさんで向き合い、夜の海を緑と赤の光が照らしていた。
1998年8月の記録
「さて、出航時刻は23時55分。いつものように後部甲板に出て、風呂上がりのさっぱりした気分で船出の様子を見守る。
船底の機関室からエンジンの重低音が微かな震動とともに伝わってきて、今にも動き出しそうな巨大な船体を岸壁に繋ぎとめていた太いロープが地上作業員によって次々と解かれ、船上のローラーで巻き取られると、自由になった「ブルーゼファー」はゆっくりと東京港の岸壁を離れた。
陸地との間に少しずつ広がる海面は複雑に泡立ち、波立ち、やがてそれがひとすじの航跡へと変わっていく。
フェリーターミナルの灯が少しずつ遠ざかり、東京港中央防波堤の赤と緑の光を放つ灯台の間を抜け、航路を示す標識灯を左右に見ながら船は真っ暗な海をなおもゆっくりと進む。
星の瞬く夏の夜空。湿り気を含んだ夜風。ここはまだ東京なのに、あまりにも日常からかけ離れた風景に旅の情感が高まってくる。
深夜の湾岸都市の夜景も、高層ビル群の赤いランプが焚き火の残り火みたいで、どこかもの寂しい。わけもなくセンチメンタルな旅の始まりである」
東京・釧路航路(途中でサメやマンボウ、イルカなどが出没します)
うーん、また船旅がしたくなるなぁ。
この時の写真はないが、探したら、水上バスから撮った写真があった。
まさに両灯台の間を通って大型貨物船が出ていく。
若洲から伸びる東防波堤。先端の赤い灯台が東防波堤灯台(赤色光)。
ゲートブリッジ上から見た中央防波堤東灯台(灯台の色は白で緑色光)。
無くなってしまうのなら、もう少しちゃんとした写真を撮っておけばよかった。灯台好きとしては…。
なお、廃止された灯台の代わりに防波堤の突端を示す簡易標識が設置されたそうだ。