富士五湖ツーリング(その1)

 朝5時過ぎに家を出て、前後輪をはずして袋に収納した自転車とともに京王線に乗り、高尾駅で中央線に乗り換え。京王線は空いていたが、中央線は大混雑。当然、座れなかった。途中ですれ違った上り電車はガラガラで、羨ましい。

 車内は登山客がほとんどで、皆さん、登山用の消費マニュアルに従ってウエアやグッズを取り揃え、完璧である。こういう電車には自転車のような大荷物を抱えて乗りたくないのだが、やむをえない。実際、僕と同じような輪行客も多い。こちらも僕と違って自転車用の消費マニュアルに従ってウエアやグッズを取りそろえ、完璧にキメている。

 どんな趣味のジャンルでもそれぞれに購入すべき商品カタログが用意されており、趣味仲間との競争意識も手伝って、皆さん、高額の商品をどんどん買い揃えるように仕組まれているわけだが、僕などは自分の自転車のゆる~い乗り方を考えれば、高価なサイクルウエアなど必要ないし、ユニクロのドライTシャツあたりで十分である(今日はユニクロではないけど)。ただし、長距離だとお尻が痛くなるので、パッド付きのパンツは必需品。

 閑話休題。さて、今日はどこへ行くのか。候補はいくつかあり、この時点でもまだ迷っていたが、結局、大月で富士急に乗り換える。あまりハードな山登りは避けて、富士山麓をのんびり走ろうと思う。

 京王線からも真っ白な富士山が見えていたが、富士急の車窓から見る富士はさすがに近い。何度見ても感動する。

 途中、富士山の全容が望める絶景区間では車内アナウンスが流れ、写真撮影のために徐行するサービスもあった。

 富士吉田から改名した富士山駅に8時13分到着。

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(ホームの柱に立てかけてあるのが僕の自転車)

 玄関口に立派な鳥居がそびえ、「奉祝天皇陛下御即位」の幟がはためく駅前で自転車を組み立てる。ツバメがたくさん飛び交っている。駅の建物にも巣を作っているのだ。

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 では、出発。

 吉田口登山道の一の鳥居にあたる金鳥居(かなどりい)をくぐって、富士山へ向かって登っていく。最初から坂道である。

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 1キロ余り登って上宿の交差点で左折。国道138号線に入って、まずは忍野八海をめざす。太陽光線の具合を考えると、朝のうちに富士山の東側を巡るのがよい。

 だらだらと上り坂が続く国道を行くと、周囲の林からツツピン、ツツピンとシジュウカラよりも早口でさえずるヒガラの声が聞こえてくる。この声を聞くと山に来たな、と思う。

 忍野入口で左折。今度はセンダイムシクイのチョチョビーというさえずりが多くなる。ウグイスもあちこちで鳴いている。

 道祖神の点在する忍野の集落に入り、火の見櫓を見つけた。

 いろいろと邪魔なものがあるけれど、富士山と火の見櫓。

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 もうひとつあった。

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 忍野八海にやってきた。富士山駅から7キロほど。

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 富士山の雪解け水が長い年月を経て山麓の溶岩台地の底知れぬ深い穴から湧き出す池が八つあることから忍野八海と呼ばれる景勝地であり、霊場でもある。かつてはここに忍野湖という湖があり、それが干上がった後、その湧水源が池として残ったものだともという。

 まずは浅間神社にお参り。

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 拝殿の前に八海それぞれから汲んだ水が入ったと思われる桶が供えられている。

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 左から菖蒲池、鏡池、濁池、湧池、銚子池、底抜池、お釜池、出口池。

 浅間神社では社殿の裏でキビタキがさえずっていた。キビタキのさえずりはけっこう個体差があって、僕の能力では聞き分けが難しく、確信が持てないことも多いのだが、今日は姿も発見でき、鮮やかな黄色で間違いなくキビタキだと確認できた。この鳥(とオオルリ)に出会うとやはり感動する。しかし、まともな写真は撮れず。

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 というわけで、ネット上にあったキビタキの動画を拝借。


キビタキの囀り

 ほかにカワラヒワシジュウカラエナガメジロの姿を確認。

 これはカワラヒワかな。

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 忍野八海から流れ出た川にはマガモの親子。

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 お釜池。

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 まもなく観光客で賑わうエリアに入った。ものすごい人出で、外国人観光客も多い。中国語が飛び交っている。もちろん、欧米系もいる。忍野八海世界文化遺産「富士山」の構成資産に認定されているのだ。

 湧池。

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 ところで、先ほどまで全容を現していた富士山だが、いつのまにか山頂が雲に隠れてしまった。今日は富士山を映す絶景の富士五湖を自転車で巡るという心づもりだったので、ちょっと当て外れ。

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 この池(中池)は忍野八海観光の中心に位置するが、観光用の人工池で「忍野八海」には含まれていない。真ん中の島の中央に水深8メートルの深い池があるが、お店の中を通らないと見学できないようになっている。

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 見学してきた。別に買い物をする必要はない。中国人が大量購入しそうな商品が多く、店員にも中国人がいるようだった。

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 池の中にはイワナニジマス、コイなどがいる。

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 池にコインを投げ込む人が多いらしく、水質悪化が懸念され、硬貨投入禁止の注意書きをあちこちで見かけた。当然、中国語や英語でも書かれている。

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 150円で空のペットボトルを売っていて、自由に水を汲めるという商売もやっている。全体的に観光地化され過ぎている感じ。

 300円払って資料館に入ると見学できる底抜池。

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 マガモカップルが休んでいた。

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 上空を旅客機が頻繁に通り、青空に幾筋もの飛行機雲が引かれている。

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 この池も人工池。

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 菖蒲池。

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 さて、何よりもキビタキを見ることができて満足し、忍野八海をあとにし、山中湖に向かう。

 忍野村から山中湖村に入る。途中で道を間違え、花の都公園とかいう場所に出た。

 サングラスをかけていると、空に水平の虹が見えるのだが、この写真では分からない。

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 花より虹を撮ったつもりなのだけど・・・。

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 ヒバリがさえずっている。ホオジロの声も聞こえる。

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 山中湖にやってきた。

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 面積は6.57平方キロメートルで富士五湖の中で最も大きく、湖面標高980.5メートルと五胡の中で最も高い場所にある湖である。そして、相模川山梨県内では桂川)の水源でもある。もともと平安時代に富士山の噴火による溶岩流が桂川をせき止めて、山中湖が形成されたのだ。

 桂川の流出口。これが湘南の海に注ぐ大河になる。

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 最初は山中湖はちょっと見るだけで河口湖方面へ向かうつもりだったが、湖岸を一周するサイクリングコースがあると知り、反時計回りに一周してみることにした。現在の気温14℃の電光表示があった。

 山中湖には過去に一度自転車で来たことがあり、その時は籠坂峠を越えて御殿場に下り、時間が余ったので、さらに箱根外輪山を登って乙女峠を越え、小田原まで走ったのだった。あの時も山中湖は湖岸の国道を少し走っただけだったので、実は山中湖はあまり知らない。昔、家族ドライブで来た記憶はあるけれど、あまりよく憶えていない。帰りの中央道が激しい雷雨だったことだけ憶えている。

 さて、サイクリングロードは路面に亀裂が多かったり、格子状の鉄の蓋をした水路を横切る場所が何か所もあったりで、走りにくいので、大部分は並行する車道を走る。あちこちで名残の桜が咲いている。

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 湖の彼方に富士山が見える位置までやってきた。相変わらず雲を被っているが、山頂がわずかにのぞいている。

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 湖畔の湿地でオオヨシキリが大きな声でさえずっていた。

 ウグイスやセンダイムシクイやヒガラなどの声を聞きながら、気持ちの良いサイクリング。後半はずっと富士山を見ながら走る。一周してみてよかった。路面状況がもう少し良好ならもう一周してもいいぐらいだ。

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 これで富士山の全容が拝めたら最高なのだけど。

 


山中湖畔サイクリング

  そういえば、前回、といってももう12年前、2007年のゴールデンウィークに富士山麓を走った時は富士山がばっちり見えたのだが、自衛隊の演習場で山焼きをやっていて、もうもうと立ち昇る煙が富士山を覆い隠してしまったのだった。何も行楽客が大勢来る連休中にやらなくても、と思ったことであった。今年もやったのだろうか。富士山麓の枯草色の部分が演習場だろう。

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 コブハクチョウがいた。白鳥の湖

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 13キロ余り走って山中湖を一周。コンビニ(ここも店員はアジア系外国人だった)で休憩後、河口湖方面へ向かう。

(つづく)

(きょうの1曲)村松健/スピード2


スピード2 - 村松健