富士五湖ツーリング(その2)

 5月5日のこどもの日に富士山麓をサイクリングした話の続き。

 富士急の富士山駅を出発し、忍野八景を訪れ、その後、山中湖を一周してきたところから。

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 山中湖をあとに河口湖をめざす。国道138号線で最初、少しだけ登ると、あとは富士吉田までずっと下り坂だった。山中湖の湖面標高は981メートルで、河口湖は831メートルなので、標高差は150メートルもある。

 ビュンビュン下るのは気持ちがいいが、交通量のある国道であり、しかも自転車の走る道路の端というのは路面が荒れている場合もあり、けっこうな緊張感で、気分的に疲れる。ゆるやかな下りというのが一番いい。

 シカの絵柄の「動物注意」の標識がある。周囲は山林が続き、確かにシカがいそうな雰囲気はある。実際、いるのだろう。この標識は僕にとっては「動物、出てきて!」の標識でもある。いきなり目の前に飛び出されるのは困るけれど。

 富士吉田を過ぎ、ものすごいジェットコースターから悲鳴ではなく歓声が聞こえて、ジェットコースターに乗ったことのない僕としては狂人のワンダーランドとしか思えない富士急ハイランドを過ぎる。

 信号待ちの際に何気なく空を見上げて気がついた。太陽の周りに虹の輪が出ている。ハロ(日暈)という現象だ。サングラスだと鮮やかで、大小二つの虹の輪が太陽を囲んでいる。

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 富士河口湖町に入り、国道139号線から右折して河口湖方面へ向かい、河口湖大橋を渡る。徒歩やレンタサイクルの欧米系観光客とすれ違ったり、追い抜いたりする。聞こえてきた会話はフランス語だった。

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 河口湖の北岸に出て、湖岸沿いに西へ向かう。最初は美術館などがあり、観光地らしい風景だったが、だんだん静かな雰囲気になってきた。ただ、クルマやバイクは多いので、絶えず騒音を聞きながら走る感じである。湖上でもモーターボートが疾走していたりする。

 そんななか、オオルリの声が今日初めて聞こえてきた。山林のかなり高い場所なので、姿を探すのは諦めて進む。そういえば、今日はミソサザイの声は一度も聞かなかった。

 ネット上にあるオオルリの動画を拝借。


綺麗な囀り声のオオルリ

 

 富士山は相変わらず雲をまとい、時折、山頂をのぞかせるものの、すっきりしない眺め。それでも湖畔の道をのんびり走るのは気持ちがよい。

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 途中、世田谷区の河口湖林間学園の前を通る。ここには中学2年生の時に移動教室でやってきて2泊した。ただ、どんな宿舎だったか、あまり記憶がない。当時と同じ建物なのかどうかも分からない。

 やがて西湖方面へ右折。ここから急坂だ。西湖の湖面標高は900メートルで、河口湖より70メートルほど高い。

 ヘアピンカーブを二度曲がり、もうひと踏ん張りすると勾配もゆるやかになり、まもなくトンネルをくぐると西湖が見えてくる。北岸経由、南岸経由の両ルートがあるが、ここは距離の短い北岸を行く。

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 湖水に溶岩が迫っているのが分かる。西湖とこの後訪れる精進湖本栖湖はかつては一つの湖だったのが溶岩流で分断されたのだという。しかも、三つの湖は湖面標高が同じで水位が連動しているため、地下で繋がっていると考えられている。

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 西湖を過ぎると西湖野鳥の森公園がある。現在の時刻は14時で、先を急ぎたいのだが、ちょっとだけ散策。飲用可で自由に汲める水道があったので、空になったペットボトルに詰めておく。

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 青木ヶ原樹海の中の散策路を少しだけ歩く。ヒガラやヤマガラ、ウグイス、アオゲラの声がするが、オオルリキビタキの気配はない。ミソサザイの声も聞こえない。

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 起伏の激しい溶岩台地の至るところに割れ目や洞穴があり、底知れない闇が地底に広がっているのではと思わせる。

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 表土は乏しく、ヒョロヒョロとした木々が岩の上に根を這わせ、不思議な雰囲気の森である。迷い込んだら抜け出せないというイメージもあり、ちょっと怖い雰囲気もある。まだ葉っぱが十分に茂っていないので、陽光が差し込み、そんなに暗くはないが、緑陰が濃くなると、さらに恐怖感が増すのかもしれない。とにかく、すぐに戻ってきた。

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 公園にはまだ桜が咲いている。

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 公園のビジターセンターの庭に餌台と池があり、次々と野鳥が来ている。カワラヒワヤマガラシジュウカラヒヨドリ。前にニホンリスを見たのはここだったろうか。

 カワラヒワの失敗写真。

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 14時30分に野鳥の森を出発。公園をあとにすると、すぐに樹海の中からオオルリの声が聞こえてきた。センダイムシクイもいる。キビタキもいる。ここは天国か?と思うよな場所だが、ひっきりなしにクルマやバイクが通り、騒音が鳥たちの声をかき消そうとする。オオルリはじっくり探せば、姿も見つけられそうだったが、断念。センダイムシクイだけは姿を見つけた。

 ほかに林の中でガサガサという物音がしてシカでもいたのかもしれないが、確認できず。

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 再び走りだし、国道139号線に入り、精進湖に向かって下る。

 精進湖

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 上空を2羽ほどトビが飛んでいる。

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 15時ごろ精進湖をあとにして本栖湖へは4キロほど。

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 本栖湖は午後の陽光にきらめいて、これまでに訪ねた四つの湖とは違った印象。

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 湖岸まで下る道があったが、高台の駐車場から眺めただけで出発。

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 ここからしばらく登れば、海岸部の富士市まで標高差900メートル以上の下りが待っている。

 本栖橋から眺める本栖湖

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 エッチラオッチラ坂を上って、ようやく山梨県から静岡県に入る。

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 ここからは朝霧高原雄大な風景の中をひたすら下りである。

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 太陽は西に傾き、富士山は順光となるが、相変わらず雲がもくもくと湧き、山頂を隠している。

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 朝霧高原の牧場。

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 朝霧高原の道の駅でソフトクリームを食べるのもいいな、と思ったが、素通り。ここからは下って下って、まだ下る。もう半分ぐらい下ったかな、と思ったら標高700メートルの標識が現れたりする。速度計の数字は時速40キロを軽く超えてしまう。渋滞気味でノロノロのクルマをどんどん追い抜いて、とにかく下る。この道を自転車で走るのは3度目だが、毎回、ここの下りは長く感じる。富士山五合目に通じるスバルラインなどは標高差1,400メートル以上だが、けっこうあっという間に下ってしまう印象だが、ここは本当に長い。本当にいつまで下るのかと思うほど下る。もういいよ、と思ってもまだ下りである。

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 しかし、調子に乗って下っていると、そのまま自動車専用道路に入ってしまうので、注意が必要だ。そこで右へ分かれる一般道に入って、まだ下る。

 白糸の滝の入口も素通りして、だんだん人家が増えてくるが、まだ下り。市街地に入ってもまだ下る。その分、気が抜けないので、けっこう気疲れする。

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 やがて富士宮市の中心部にさしかかる。東海道線富士駅まで行くつもりだったが、富士宮駅で終わりにしよう。

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 16時50分頃、身延線富士宮駅で自転車を停め、分解・パッキングして駅舎の階段を上る。その直前に富士行きの電車が行ってしまった。JR東海からJR東日本の小田原まではIC乗車券が使えないので、久しぶりに切符を買う。1,320円。その傍らに富士宮駅の線路の標高は118メートルと書いてあった。富士まではまだ100メートル以上下るのだった。

 17時19分発の沼津行きに乗る。いつのまにか夕陽に霞む富士山が姿を現していた。

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 沼津で慌ただしく立ち食いソバで腹ごしらえして、18時24分発の熱海行きに乗り継ぎ、さらに熱海から黒磯行きに乗り継ぐ。JR東海と東日本の境界である熱海ではホームが違うので自転車を担いで階段を下り、隣のホームの階段を登らなければならない。富士と沼津の間以外はずっと立っていた。家まで遠いな、と思う。

 それでも小田原まで来れば、あとは小田急線に乗ればよい。19時29分発の新宿行き急行。始発だから座れたが、これもけっこう長いのだった。

 21時過ぎに帰宅。

 本日の走行距離は105.5キロ。

(きょうの1曲)ROUND TABLE feat.NINO/横顔


Yokogao - Round Table feat. Nino