- 作者: 越谷オサム
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/11/27
- メディア: 単行本
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でも、これは読んでみました。近所の図書館にあったので。
空色メモリ。いいタイトルだね。でも、それが空色のUSBメモリのことだと分かると、なぁんだ、と思ったりもしたが、でも、これはけっこう面白かった。
どんな話かというと。
「たったひとりで県立坂越高校文芸部を守る、ハカセこと河本博士に春が来た。なんと、可愛い新入生が入部してきたのだ。彼女の名前は、野村愛美さん。ブンガク少女らしからぬ彼女が、なぜ人気のない弱小文化部に入部を決めたのだろう? 不思議な雰囲気の彼女には、何か秘密がありそうだが。そんなあれこれを空色のUSBメモリに綴り始めた。その空色メモリが思わぬ騒動を巻き起こして…。気鋭の著者が満を持して贈る、学園青春小説の決定版」
空色メモリに記録された文書の綴り手、つまり、この物語の語り手は、ハカセの友人で、文芸部に所属はしていないが、部室に入り浸っている、ブーちゃんのあだ名をもつおデブな男子生徒・桶井陸。
ハカセが恋する野村さんも、上のあらすじには「可愛い」と書いてあるが、すごい美少女というわけでもなく、陸の表現によれば、顔は十人並みの、地味なメガネ女子だ。
要するにモテない男子2名と地味な女子1名がこの物語の中心人物なわけだが、空色メモリの存在がある事件を引き起こして以降、ストーリーに大きく絡んでくる、野村さんの友達・サキが一番イキイキと描かれている。
この人の作品を読むのは『陽だまりの彼女』『ボーナス・トラック』についで3冊目だが、なんだかいいね。読後感もさわやか。まぁ、最後で、次のページをめくったら何も書いてなくて、「え?ここで終わりなの?」と思ってしまったのも事実だけど。