越谷オサム『いとみち』

いとみち

いとみち

 またまた越谷オサムの作品。
 今回の舞台は本州最北端、青森市メイドカフェ津軽メイド珈琲店」。
 主人公は高校1年生の女の子・相馬いと。母親を早くに亡くし、祖母に育てられた彼女は、地元の北津軽郡板柳町の人からでさえも「は?」と聞き返されるほどの濃厚な津軽弁を話す。それがコンプレックスで、人とのコミュニケーションが苦手で、友達も少ない。
 津軽三味線の名人でヴァン・ヘイレン好きの祖母(77歳)に仕込まれた三味線では賞をとったこともあるが、演奏中の表情が仁王像のようになってしまうのが嫌で、それもやめてしまった。
 そんないとが、週末に青森のメイドカフェでアルバイトを始めた。メイド服が着てみたかったのと、人見知りで引っ込み思案な性格を克服したくて…。でも、「おかえりなさいませ、ご主人様」がどうしても、「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」になってしまう。

 先輩メイドの智美に「なにその萌え記号の詰め合わせ。背がちっちゃくて黒髪ロングでメイド服で貧乳で泣き虫でドジッ娘で方言スピーカーで、おまけに和楽器奏者? あんた超人か」とヘンなほめられ方をした、いとは果たしてメイドカフェでやっていけるのか?

 今回はほのぼのとした青春小説。