坂本真綾/モアザンワーズ

モアザンワーズ【初回限定盤】

モアザンワーズ【初回限定盤】

 坂本真綾(歌)、菅野よう子(作編曲)、岩里祐穂(作詞)が9年ぶりにタッグを組んだことで話題のシングル「モアザンワーズ」。
 普通、歌を作る場合、詞に曲をつけるか、曲に詞をあてはめるか、という作業になるわけだが、この「モアザンワーズ」は、曲は曲で勝手に書き、詞は詞で音数や文字数を考えずに勝手に書いて、あとで両者を合わせる、というかなり無茶な(?)作業を経て生み出されたのだという。
 岩里祐穂は次のように語っている(『ミュージックマガジン』8月号)

 新曲の「モアザンワーズ」は実は楽曲が最初にあったんですよ。「この曲なんだけど、このメロディどおりには言葉を乗せないで」って菅野さんに言われたの。「あなたは何を言っているの?」って(笑)。だから、音数を敢えて無視する、ハマったらつまらないと思うことにして、文章のように書いた。それで菅野さんに渡して、私は菅野さんがメロディと言葉を整理してくるのかと思って、楽しみにしてレコーディングに行ったら、変わってなかったんですよ(笑)。「これどうするの?」って聞いたら、「いまからハメようよ」と言われて。3人でブースに入って、あーだこーだ、「今のハメ方いいね」「この行だけ歌える」「だんだん歌えてきた」「すごーいハマってる」とか、そんな感じで(笑)。それで30〜40分くらい、どの言葉を抜いて、ここをこっちに持ってきて、なんてやりながらようやく完成して、初めて私も「ああ、こういう曲だったのね」って分かりました(笑)。でも、そういうやり取りが出来たというのは、信頼し合えているというか、特殊な3人だと思いましたね。

 こんな冒険的な試みはアルバム曲ではありえたとしても、普通、シングル用の曲ではやらないだろう。それが出来てしまうところがスゴイ。 
「自由って、せつなくないですか?」というフレーズが印象的なこの作品。「コードギアス亡国のアキト」という劇場版アニメの主題歌らしいが、アニメやゲーム音楽の世界にはそこらのJ−ポップよりはるかにクリエイティブな才能が集まっていて、冒険的で面白い音楽が生み出されている、と感じる今日この頃です。

 ところで、このCD、パッケージを見ただけだと2曲入りと思えるのだが、実際はもう1曲入っている。これも真綾・菅野・岩里の3人による少し古い作品。これがまたイイ。まぁ、何の曲かは内緒にしておいた方がいいですかね。初回限定版は「モアザンワーズ」PVのDVD付き。