WBC日本対チェコ

 ワールドベースボールクラシック、B組の日本は東京ドームで1次ラウンドの第3戦、チェコ代表と試合を行った。チェコは国内に存在するさまざまな職業についている選手のアマチュア野球リーグを中心にヨーロッパ各国のリーグでプレイする選手、大学生、そしてアメリカのメジャーやマイナーの経験者も含む選抜チームがヨーロッパの予選を勝ち抜いてWBC初出場。初戦では中国に劇的な逆転勝利をあげている。日本のほうが格上なのは間違いないが、このような野球において未知のチームと対戦するところが国際大会の面白いところである。この試合はチェコでも生中継され、それは同国の歴史上初めての野球中継となったそうだ。

 大谷翔平ダルビッシュ有に続く日本の先発は佐々木朗希。その佐々木は初回から最速164キロを記録するなど飛ばしたが、二死から160キロ超の速球を弾き返され、二塁打を打たれると、続く打者の遊ゴロを中野が一塁へ悪送球して二塁走者が生還。チェコに1点の先制を許す。

 チェコの先発はサトリア。120キロ台の「速球」と緩い変化球の緩急を駆使してヌートバー、近藤を連続三振、大谷も一ゴロに打ち取る見事な立ち上がり。2回裏、日本は2安打と四球で満塁のチャンスを作るが、後続が倒れ、得点ならず。

 チェコ1点リードで迎えた3回裏、2番近藤が二塁打で出塁すると、大谷は三振に倒れるが、4番村上が四球を選び、ここで5番吉田がタイムリ二塁打を放ち、二者生還。日本が逆転に成功。さらに6番山田も左前打で続き、吉田が生還。3-1。

 佐々木は4回、8個目の三振を奪って二死を取った時点で球数制限(65球)を超えたため降板。宇田川が後続を三振に仕留めた。

 その裏にはチェコの二番手フラウチに対して、四球とバントで一死二塁のチャンスを作り、1番ヌートバーの中前打、近藤、大谷の連続二塁打と畳みかけ、6-1。さらに三盗を決めた大谷が吉田の犠飛で生還。7-1

 日本は5回にも牧原のタイムリーで1点をあげると、8回には牧の2号ソロ、さらに村上の大会初安打をきっかけにもう1点追加して10点目。

 5回から登板した三番手・宮城が9回まで1失点で投げ切り、最後は三者三振でゲームセット。日本が10-2で勝利。試合後、チェコの選手が全員ベンチ前で満員の観客と日本選手に拍手を送る姿がとても印象に残った。試合には負けたものの、ほとんどのチェコ選手たちにしてみれば、このような超満員の観衆の前でプレーするのは初めての経験だっただろうし、負けた悔しさを上回る喜びがあったのかもしれない。先発のサトリア投手は大谷から三振を奪ったボールを記念に持ち帰ったという。

 とにかく、これで日本は3連勝。明日の1次ラウンド最終戦の相手はオーストラリアア。先発は山本由伸。