アコースティック・アストゥーリアスのライブ


 ギター、ピアノ、クラリネット&リコーダー、ヴァイオリンによる超絶アンサンブル・ユニット、アコースティック・アストゥーリアスのライブを二子玉川のライブハウスKIWAに観に行く。
地下にあるなかなかいい感じの空間で、奥行きのあるステージにはグランドピアノ。やっぱりアコアスにはグランドピアノが似合う。

 開場16時半、開演17時というライブにしては早めのスケジュールで、バスが渋滞に巻き込まれたため、着いた時にはもう開場していたが、わりあい良い席が取れた。ほどなく満席になったのでラッキーだった。
 17時過ぎに客席が暗くなり、メンバー登場。あ、テイセナさん、いつのまにか髪が短くなりましたね。

 Acoustic Asturias
 大山曜(ギター) 
 川越好博(ピアノ)
 筒井香織(クラリネット、リコーダー)
 テイセナ(ヴァイオリン)

 ところで、今日はアコアスの2ndアルバム『マーチング・グラス・オン・ザ・ヒル』の再発記念ライブである。2006年に出たこの作品、個人的には財力さえあれば、大量購入して、街頭で道ゆく人たちにタダで配りたいぐらいの傑作だと思うのだが、長らく入手困難になっていて、amazonあたりでは定価の10倍以上の値がついていたとか。それで、今回、紙ジャケ仕様で、再発売の運びとなったわけだ。めでたい。
 ということで、今日は同アルバムの曲が多く演奏された。また、新曲も2曲初演。
 いわゆる室内楽編成だが、この手のユニットにありがちな凡庸さとは無縁、演奏するのは猛烈に難しそうだが、聴いている分には美しいメロディにうっとりさせられる。でも、単なる癒し系でもなく、刺激的。
 メンバー4人のうち3人は譜面台を置いて演奏しているが、ヴァイオリンのテイさんだけは譜面なし。これだけ緻密に書き込まれ、めまぐるしく展開する、複雑で難度の高い楽曲(しかも、各曲ともそれなりに長い)を、目を閉じたまま、陶酔したように弾きまくるのはスゴイなと思う。
 アコアスならではの美しくエレガントでカッコイイ演奏をすっかり堪能した。

Set List
1.ワタリドリ 
2.ベタ・スプレンデス  
3.ルミナス・フラワー
4.マドリガル(新曲)
5.ブラッドステインド・ローゼズ
6.ローガス
(休憩)
7.ウォーターフォール
8.氷雨(こおりあめ)(新曲)
9.やわらかな回廊
10.凍てつく記憶
11.ユハンヌス
12.マーチング・グラス・オン・ザ・ヒル
(アンコール)
1.神の摂理に挑む者たち
2.黄源の舞




(きょうの1曲目)

(きょうのアンコール)

 ついでに、大山氏のMCも今日はいつになく好調で、会場がたびたび爆笑に包まれた。
 上機嫌の理由は今日のロンドンオリンピックの開会式にあったようだ。僕は断片的にしか見ておらず、Mr.ビーンポール・マッカートニーが印象に残ったぐらいだが、なんとマイク・オールドフィールドが登場して演奏したのだとか。見たかったぁ! といっても、どのぐらいの人が知っているのか分からないが、世間的には「エクソシスト」の音楽で有名な人です。で、大山氏はしばしば「日本のマイク・オールドフィールド」と評される人物なので、まさかの登場にいたく感動したものらしい。まさに、いまだ興奮さめやらず、といった感じ。そういえば、ピンク・フロイドの音楽も使われていたのは僕も気づいたな。

 また、アコアスではなく、エレクトリック編成のエレクトリック・アストゥーリアス(筒井さん以外の3人+エレキギター、ドラムス)はニューヨークでのライブのオファーが来たそうで、渡航費の問題などで最初は断ったそうだが、ギャラを16万円上乗せするから、と言われ、OKしたそうだ(すごいナマナマしい話!)。ギャラアップといっても、その中から渡航費用なども工面しなければならず、懐が潤うような話ではないらしい。とにかく、来年にはエレアスのアメリカ公演が実現するわけだ。過去にはアコアスでイタリアやフランス、メキシコで演奏しているし、エレアスもポルトガルのフェスティバルに参加していて、けっこう海外にもファンは多い人たちなのだ。アコアスの1stはフランスのレーベルから全世界発売もされているしね。

 もうひとつ、筒井さんが作曲の勉強のため、この秋から2年間、パリに留学することになったとのこと。といっても、数か月おきに帰国する予定だそうで、アコアスの活動も続けるという。今日は筒井さんの壮行ライブでもあったのだ。

 とにかく、大山さんが言う通り、大切な人への贈り物にもピッタリなアコアスの『マーチング・グラス・オン・ザ・ヒル』。たしかにCDのプレゼントって受け取る側からすると案外対処に困る場合が多いんだよね。その点、このアルバムは音楽初心者にもBGMとして気楽に楽しめるし、音楽通をも納得させる要素が満載で、誰にプレゼントしても大丈夫そうな「希有な作品」かもしれない。ま、基本的には音楽を愛するオトナのための音楽だとは思うけど。8月8日に発売です。

マーチング・グラス・オン・ザ・ヒル Marching Grass On The Hill

マーチング・グラス・オン・ザ・ヒル Marching Grass On The Hill