鹿児島交通線

 8月23日、吹上浜ユースホステルのお姉さんに車で日置駅まで送ってもらい、駅で加世田駅までの切符を買って、10時11分発の加世田行きに乗車。
 ディーゼルカーは今日も激しく揺れながら、水田や森の中を走る。時折、東シナ海が見える。
 相変わらず、どの駅にも線路際にも線路上にも雑草が生い茂り、列車は背の高い草や竹などを掻き分けるようにして走る。窓から顔を出すと危ない。
 さつま湖駅は砂浜と一体化したような駅だった。
 10時51分に沿線最大の駅、加世田に到着。ここで下車。
 駅構内にはたくさんの廃車体が放置されている。ほとんど朽ちかけたようなものまである。解体するカネがないのだという。沿線各駅の荒れ具合から見ても、このローカル私鉄の経営が苦しいことはよく分かる。将来、この路線にSL列車を走らせる計画があると吹上浜YHで聞いたけれど。




(加世田駅にて)

 市内をぶらついたりして、駅に戻り、12時02分発の枕崎行きに乗る。キユニ101とキハ102の2両連結。
 加世田駅を発車直後、構内の片隅に小さなSLがちらっと見えた。
 加世田から終点・枕崎駅までは20.6キロ。途中にある9駅はすべて無人駅で、行き違い施設も全くない。そのため、加世田と枕崎の間は1列車しか入れない。列車本数も伊集院〜加世田間が12往復なのに加世田〜枕崎間は8往復しかない(朝昼晩と1日3往復が伊集院から国鉄に乗り入れ、西鹿児島まで直通)。

 12時42分に枕崎駅に着いた。国鉄指宿枕崎線との接続駅で、1本の島式ホームの片側(駅舎側)を鹿児島交通が使用し、反対側を国鉄が使用している。国鉄駅に鹿児島交通が間借りしているのかと思ったら、逆だそうである。草深いのはこの駅も同じだった。


 この旅から3年後、1983年6月21日にこの地方を襲った集中豪雨により、鹿児島交通線は線路が各地で寸断され、復旧の努力も空しく、翌年3月18日をもって全線廃止に追い込まれました。