小湊鉄道の旅2022(その2)

 今日の東京は雨が降り続き、気温も低い。気象庁は関東地方が梅雨入りしたとみられると発表。

 さて、6月4日に小湊鉄道に乗ってきた話の続き。

 上総川間から9時24分発の列車に乗ったところから。

 この列車は1日5往復しかない貴重な上総中野行きで、とりあえず終点まで行くつもりだったが、途中で気が変わって4つ目の里見駅で下車。到着は9時36分頃。

 この駅は上総牛久~上総中野間で唯一行き違いができる駅で、対向列車待ちで5分以上停まる列車が多い。そのため、休日だけだと思うが、ホームには地元の人が屋台を出して、かき氷や飲み物、おにぎり、農産物などを販売している。この列車は行き違いはないが、それでも5分ほど停車。

 キハ201昭和36年生まれ。

 駅には古い木造貨車が留置してある。何か意味があるのかどうか。こんな貨物列車が普通に走っていた時代の小湊鉄道に乗ってみたかった。

 国の登録有形文化財の駅舎。大正14年の建築。

 9時43分発の列車を見送り、屋台でおにぎり(2個入り220円)を購入し、里見駅から隣の飯給駅まで歩く。この区間を歩くのは初めてだが、15年ほど前に自転車で走ったことはある。当時、坂東三十三観音札所巡りをしていて、房総半島の3カ所の札所を巡礼しながら木更津から外房の太東駅まで走ったのだった。

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 線路に沿って県道を南へ向かう。

 新しい信号機の傍らに昔の腕木信号機の柱だけがさび付いて立っている。

 初夏の緑に飲み込まれそうな線路。

 気持ちのよい田園風景が広がる中、ウグイスやホトトギスの声を聞きながら歩く。ちょっと暑い。

 ツバメ。

 養老川を渡る。Uの字、時にはΩをいくつも連ねたように激しく蛇行しながら流れ、東京湾にそそぐ川。川が蛇行するのは平坦で高低差がほとんどない平野部というのが普通で、山間の中流~上流部でこんなに曲がりくねっているのは珍しいが、房総半島では小櫃川夷隅川なども同じように曲がりくねっている。昔は平坦な低地を流れていたのが、その後、土地が隆起し、流路はそのままに水の流れで川底を掘り下げたせいで、こんな地形になったらしい。小湊鉄道もこの川を4回渡るが、この区間ではUの字の底部をギリギリ掠めるように通り抜けている。

 上空を羽田へ降下中らしい飛行機が次々と通る。

 桑の実。

 花が咲き乱れる道。

 養老川をもう一度渡って、まもなく小湊鉄道の線路が見えてきた。踏切の標識がある。

 上総川間駅の標識はディーゼルカーの図柄だったが、今度はパンタグラフ付きの電車の絵だ。

 向こうからトラックがやってきて、一時停止もせずに踏切を通過していった。明らかな道路交通法違反だが、それだけ小湊鉄道がナメられているということなのだろう。2台目も減速はしたが、停止はせずに走り去る。都会の踏切では車はみんな一応停止しているが、それは他人の目があるからかもしれない。法律よりは他人の目が行動を規制するというのが日本社会の特徴ではある。もちろん、今は僕という他人の目があったわけだが、ドライバーにルールを守らせるほどの存在ではなかったということだ。

 その踏切から見た飯給駅

 ここで15年前に愛車の写真を撮ってやったのを覚えている。

 飯給駅は線路際に桜が植えられ、その向こうには田んぼがあって、撮影スポットにもなっているが、誰もいない。飯給駅は「いたぶ」と読むのである。壬申の乱で敗れた大友皇子がここまで逃れてきたという伝説があり、地元の人が皇子に食事を提供したとかいう、そんな由来話が伝わっている。

 田んぼにはアオサギがいたが、飛んでしまった。水の中にはおたまじゃくしがたくさんいる。アオサギたちにとっては食べ放題だろう。

 田んぼの裏山には白山神社。お参りしてきた。石段に何やら獣の糞があった。イタチか何かだと思う。夜になれば、いろいろな動物が出没するのだろう。

 飯給駅といえば、前にも写真を載せたが、広大な女子トイレ。「世界一広いトイレ」としてギネスに申請したが、審査に値せず、と門前払いされたらしい。

 使用時以外はドアが開放されている。この黒い塀で囲われた広い敷地が一つの個室(?)になっている。

 一応、カーテンも付いている。

 こんな広いトイレは嫌だ、という人のために、向かい側に男女兼用の普通のトイレもある。

 駅前の田んぼから駅裏の田んぼに移動していたアオサギ

 えーと、この鳥は何だっけ? どこかで見たことがあるような気はするが・・・。

 これはヤマガラ

 さて、ここからまた列車に乗るのだが、次に来るのは先ほど里見で降りた上総中野行きの折り返し便である。里見から終点までは列車の行き違いができないので、あれが戻ってくるまでは里見から先には次の列車は入れないのだ。

 その列車が上総中野から10時48分に戻ってきた。

 とりあえず、これに乗って里見方面に戻る。まったく、何をやっているんだか、という感じだが、これでも自分としては、けっこう面白いのである。

 

 ということで、続く。